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IoTとシェアリングエコノミーが
同時に急拡大するのは、偶然ではない

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第62回】 2016年11月11日
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持続的再利用型経済とは

 デジタル産業革命が進行する過程で台頭する持続的再利用型経済とはどのようなものであろうか。「第三次産業革命」(合同出版社、2012年)の著者で文明評論家のJeremy Rifkin氏は、近著「限界費用ゼロ社会」(NHK出版、2015年)の中で、資本主義は徐々に衰退し、次なる経済パラダイムとして「協働型コモンズ」が台頭すると予測している。協働型コモンズは、所得格差を大幅に縮め、グローバル経済を民主化し、より生態系に近い優しい形で持続可能な社会を生み出すと述べている。ここでいうコモンズは、日本語でいう入会(いりあい)を意味し、村落共同体などが土地を総有する際などに用いられていたものだが、昨今ではエコシステムまたはコミュニティという表現が近い概念といえる。

 従来の資本主義市場経済では、大量生産大量消費を前提とし、生産者と消費者は明確に分かれ、モノや役務を提供することで対価を得るというモデルで社会が形成・維持されてきた。そのため生産者側の規模の経済が成り立ち、経営資源が大きいことが競争優位性の源泉となった。

出典:ITR

 一方、持続的再利用型経済では、生産活動がゼロになるわけではないが、一度作ったものを再生・共有・再利用することで限界費用を大幅に低く抑えた経済活動が展開される。消費者は、消費者であるとともに生産者にもなり得、生産者と消費者の区分は不明確となる。また、消費者側の規模の経済が重要となり、ネットワーク効果によってエコシステム参加者が多いほど提供価値が増大する(図2)

 循環型社会や共有型経済といった表現もあるが、それぞれに力点を置く範囲が少しずつ異なるため、ここではそれらを包括して持続的再利用型経済と呼んでいる。このような大きな時代の流れの中で、現在はその初期段階の局所的な変革が数多く展開され始めている状況といえる。デジタル技術を活用したイノベーションや新規のビジネスモデルが数多く創出されているが、その中でもIoTとシェアリングエコノミーがデジタル産業革命において重要な役割を果たすと考えられる。

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内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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