こうしたデータヘルス計画の堅実な推進の蓄積が根拠となり、健康経営を実効的なものへと加速させることが期待されている。さらに、「データヘルス計画を俯瞰すれば、全国民の健康課題やその課題に応じたソリューションが見えやすくなってきます。課題を共有することで解決策も共有できるようになります。その成果によって健康寿命が延びれば、人口構成だけでなく、社会構造も変わっていくかもしれません」(大橋主任研究員)。

 今後、健康経営に取り組む企業が増えてくれば、従業員の健康状況が平均よりも良いのか悪いのか、費用対効果の良い健保か悪い健保かといったことが明らかになってくる。そうなれば競争意識が生まれ、水準も上がっていくだろう。ある企業では健保担当者が直接経営幹部に呼ばれることが増えたという話も聞く。「データヘルス計画をもとに、生産性や企業イメージの向上にどのようにつなげていくかが経営者に問われる」(吉池本部長)ことになりそうだ。

企業規模によってアプローチは異なる

 実際の取り組みを見ると、単一健保を持つ大企業と、複数の企業が集まる総合健保に加入する中小企業とでは、それぞれ適したアプローチが異なるという。

 大企業は、事業主と保険者(健康保険組合など)が連携・協業する「コラボヘルス」の推進が効果的とされている。例えば、事業主が1次予防(健康増進・疾病予防など)と2次予防(早期発見・早期対処など)で、保険者は3次予防(リハビリテーション)で主体的役割を果たすといったように役割を分担。さらに、0次予防(自分の体質に合わせて取り組む健康づくり)のための共通インフラの整備やデータヘルスのシステム全体への対応は両者連携によって取り組むなどの方法がある。単一健保は事業主と連携しやすいためコラボヘルスや独自の健康施策が進めやすいという。

 対して総合健保は、複数の事業主の合意が必要で、単一健保に比べてコラボヘルスが進めにくい場合がある。従って、個々の事業主が従業員の健康が生産性や企業イメージの向上などにつながるという強い信念を持ち、リーダーシップを発揮して健康経営に取り組むアプローチが効果的と考えられる。

 いずれにしても健康経営を促進させるポイントとなるのはインセンティブだろう。国でも「健康経営銘柄」(1業種1社)の選定に続き、「健康経営優良法人認定制度(ホワイト500)」(経済産業省)を今年度から実施する。これは、上場企業に限らず、保険者と連携して優良な健康経営を実践している法人を、2020年までに500社認定するというものだ。健康経営への取り組みを評価して融資の金利を優遇する金融機関も現れ始めた。さらに健康経営は、企業のブランド価値の向上や優秀な人材の確保にもつながる。こうしたメリットが企業の健康経営に対する取り組みを大きく前進させそうだ。

【協賛企業】株式会社エムティーアイ

サポーターを派遣し
「始めること」「続けること」から健康経営を支援

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「CARADAコーポレートパッケージ」という健康経営支援サービスを提供する、エムティーアイ。モバイルコンテンツ企業ならではの強みを生かし、社会問題ともなっている従業員の健康管理を支援する。企業に「健康経営サポーター」を派遣するなど、きめ細かいソリューション提供が好評だ。

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【協賛企業】DeSCヘルスケア株式会社

「エンターテインメント」の仕掛けで
楽しく続けられる健康管理サービスを

<内容>
時代に先駆け、40年以上前から従業員の「病気予防」に取り組むワコールが健康経営のパートナーとして選んだのがDeSCヘルスケアだ。エンターテインメントのノウハウを活用した、健康に向けて楽しく取り組めるサービス「KenCoM(ケンコム)」が導入の決め手となった。

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