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焦点:トランプ勝利でFRB利上げに不透明感、経済政策も未知数

2016年11月9日

[ワシントン 9日 ロイター] - 米大統領選挙で共和党のトランプ候補が予想外の勝利を収めたことを受け、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ路線に不透明感がでている。

トランプ氏の優勢が伝えられたことで9日に市場は荒れ模様となった。2015年の中国株式市場の急落や今年6月の英国民投票後など、これまでも市場が荒れた際にはFRBは動きづらかった経緯がある。

トランプ氏は、国際的な通商交渉の破棄や再交渉の方針を示しており、世界的な保護主義に今後つながるおそれがある。トランプ氏は大幅減税も打ち出しており、エコノミストの多くは米財政赤字の急拡大につながると試算している。

ムーディーズ・アナリティクスの首席エコノミスト、マーク・ザンディ氏は「FRBは12月に政策変更しない可能性が高まった」と述べた。

トランプ氏勝利でイエレンFRB議長の将来も不透明となった。トランプ氏はオバマ大統領を支えるためにFRBは低金利を維持していると批判、2018年1月の任期終了後に交代させる可能性を示唆していた。このため、議長が早期に退任するとの憶測も一部のアナリストからはでている。

トランプ氏の経済政策運営にも不透明感が漂う。

同氏は、低所得者向け健康保険への連邦政府の歳出について、州当局に一段の裁量を与えることを提案。また個人・法人税率の引き下げを提案したが、エコノミストからはこれら計画の裏付けとなる前提条件や不透明な財政手当について疑問の声があがっている。

非営利団体の「責任ある予算委員会」は、トランプ候補の提案には不透明な部分が多いため評価するのは困難としながらも、計画を進めれば連邦債務は今後10年で5兆3000億ドル膨らむ可能性がるとの試算を示している。

トランプ氏は、自身の政策で企業投資が拡大し2500万人の雇用を創出、経済成長を倍増させると発言している。選挙の勝利演説でも「素晴らしい経済計画がある。成長を倍加させ世界で最も強い経済をつくる」と述べた。

エコノミストのバリー・アイヒェングリーン氏は今年に入り、トランプ氏の貿易保護政策の当初の影響はそれほど悪くないと指摘。関税をめぐり貿易戦争や地政学的緊張が高まる可能性があるが、当初の影響では米国の賃金とインフレ押し上げるとの見方を示した。これはこれまでFRBが求めてきたものだ。

ムーディーズ・アナリティクスのザンディ氏率いる分析チームは、トランプ氏の主張する貿易・移民政策が完全に実行されればインフレを押し上げ、FRBの積極的な利上げや景気後退(リセッション)につながる可能性があるとの見方を示した。

ナショナル・セキュリティーズ(ニューヨーク)の首席市場ストラテジスト、ドナルド・ゼルキン氏は「トランプ氏の減税は財政赤字の大幅な拡大につながり、貿易制裁は世界の通商を阻害するかもしれない。これがリセッションにつながる」と述べた。

フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は10月13日、FRBは選挙後の政策変更を注視する必要があると指摘。「FRBの対応が必要なほどの歪曲効果があるような政策がとられれば、われわれは対応しなければならない」と述べていた。

Jason Lange、Jonathan Spicer記者

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