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焦点:政府・日銀、市場混乱で「政治リスク」意識 特効薬なし

2016年11月9日

[東京 9日 ロイター] - 米大統領選はトランプ氏が勝利し、株安・円高が大幅に進行した。政府・日銀にとってこの現象は、デフレ脱却と景気拡大へのやっかいな「障害物」。来年は欧州で重要な選挙が続き、同じ状況に直面する可能性もあり、「政治リスク」への対応が強く意識されてきた。

しかし、短期的な「特効薬」はなく、構造改革の推進による体質改善が先決との声も漏れている。

<「悪夢の再来」>

財務省の浅川雅嗣財務官は、省内で開かれた政府・日銀の緊急幹部会合後に記者団の取材に応じ「投機的な動きがさらに継続するなら、必要な措置を取りたい」と述べ、厳しい表情を浮かべた。

英国の欧州連合(EU)離脱を問う6月の国民投票は、直前まで残留予想だったのが一転して離脱となり、為替を含む金融市場が混乱。「悪夢の再来が現実となった」(政府関係者)との声も聞かれた。

足元の円高を受け、浅川財務官は為替介入の可能性について「ノーコメント」とする一方、過度な変動に対しては、あらゆる選択肢を排除しない考えを示した。

<日銀にも難題の円高>

日銀では、米大統領選について黒田東彦総裁が早い段階から予断を持たないよう幹部に促してきたとされ、冷静に受けとめているとみられる。

今後は米国をはじめとした世界経済の行方や金融市場の動向が、日本の経済・物価に与える影響を注視する方針だ。

足元の市場の動揺は、大方の予想に反した結果が変動を増幅している面があるものの、不確実な状況が長引いたり、これまで緩やかながらも利上げを模索していた米金融政策が転換を迫られれば、一段と株安・円高が進行。日銀が掲げる2%の物価安定目標の実現が、さらに遠のくことは避けられない。

日銀は9月の金融政策決定会合で、政策の軸足をそれまでの「量」から「金利」に転換し、11月1日には物価2%の到達時期を「2018年度ごろ」に先送りしたばかり。

黒田総裁は2日の衆院財務金融委員会で「必要に応じて追加措置をとる用意がある」と強調したが、中心的な手段となるマイナス金利(現行マイナス0.1%)の引き下げは金融界を中心に反発も強く、難しい判断を迫られる可能性もある。

ただ、日銀内では、米国・世界の流動性や金融システムに支障が生じるような事態は想定しづらいとみており、緊急的な対応には距離を置いている。12月15、16日に開く次回の金融政策決定会合に向けて、金融市場の変動が日本の経済・物価情勢に及ぼす影響について分析を急ぐ考えだ。

<来年は欧州発のリスク>

東京市場では大統領選の大勢が判明するにつれ、株安・円高が進行した。日経平均株価<.N225>は一時1000円超下落、ドル/円<JPY=EBS>も105円台から、一時101円台前半まで下げた。政府内ではこうした「政治リスク」に対する市場の弱さを懸念する声も広がった。

来年、欧州では重要な選挙が目白押しで、ある政府関係者は「気が抜けない展開が今後も続く」と指摘。フランスの大統領選に加え、オランダやドイツでの議会選挙では極右政党の躍進が取り沙汰されており、結果次第では再び市場が混乱に陥りかねない。

政治イベントに大きく左右される市場の構造について、別の政府関係者は「市場の足腰を鍛えるためにも、構造改革の着実な推進が欠かせない」と指摘する。

与党内では選挙への影響を見越し、社会保障改革への機運が高まらない現状がある。「高齢者という『貴族』が若年層を搾取する根本的な構図を変えなければ、投機筋が幅を利かせる市場構造も変わらない」(同)と語った。

(梅川崇、伊藤純夫、竹本能文 編集:田巻一彦)

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