今、日本でいちばんホットな地域が名古屋。2月6日の市議会解散是非を問う住民投票と出直し市長選、愛知県知事選の「トリプル投票」が迫り、白熱した論戦が展開されている。河村市長の破天荒な行動が市政を市民にぐっと近づけ、その一方で政党の溶解現象を生み出している。決戦前夜の名古屋をレポートする。

「日本の先行きが不透明なこともあって、河村的なものを求める人もいますが、河村さんの人気は際物といってよいと思います。私は本格的な政治をやっていきたい」

 名古屋市長選に出馬する民主党の石田芳弘衆院議員は1月5日、マニフェスト発表会見でこう切り出した。そして、河村たかし市長の減税政策を批判し、減税分を福祉や医療、教育に重点的に充てる政策などを発表した。

 1時間近くに及んだ会見の中で石田氏が最も熱く語ったのが、議会改革についてだ。議会の役割を抜本的に強化し、将来は「議会内閣制」を目指したいと力説した。また、河村市長が唱える議会改革は報酬の削減だけと批判し、「河村さんの破壊による混乱を阻止したい」と決意を語った。

トリプル投票を前に論戦白熱<br />政党の溶解現象が進む名古屋

 名古屋が新春早々から熱気に包まれている。一昨年春からバトルを繰り広げてきた河村市長と議会側の雌雄を決する瞬間が迫っている。名古屋市議会解散の是非を問う住民投票と出直し市長選、それに愛知県知事選の「トリプル投票」が2月6日に実施される。市長選と知事選共に候補者が固まり、選挙戦が事実上始まっている。

 主要政党が実力と知名度を備えた有力候補を擁立し、白熱した論戦を展開しているが、闘いの構図は複雑怪奇だ。それは市長を辞任し、出直し市長選に出馬するという河村氏の想定外の行動に伴う。

「相乗りの弊害は争点がなくなることです。今回は河村さんとの対立軸が明確になっており、従来の相乗りとは違います」

 記者の質問に石田氏はこう即答した。民主党推薦で市長選に出馬する石田氏は、知事選の民主党推薦候補の御園慎一郎氏(総務省OB)とタッグを組む。市長選に候補を擁立しない自民党の名古屋市議団が、その石田氏の支援に。野合との批判も出るが、自民党べテラン市議は「われわれにとって河村氏の敵は味方」と、意に介さない。