ダイヤモンド社のビジネス情報サイト

トランプ大統領で「ドル高」か、対円は別との声も

ロイター
2016年11月11日
著者・コラム紹介バックナンバー
11月9日、米大統領選で共和党のドナルド・トランプ氏の勝利が決まると、外国為替市場では当初急落したドルが短時間で上昇に転じ、事前のコンセンサスは覆された。ボスニア・ヘルツェゴビナのゼニツァで7日撮影(2016年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)

[ロンドン 9日 ロイター] - 米大統領選で共和党のドナルド・トランプ氏の勝利が決まると、外国為替市場では当初急落したドルが短時間で上昇に転じ、事前のコンセンサスは覆された。

 米連邦準備理事会(FRB)の12月利上げ観測がなお強いことや、トランプ氏が米企業の海外留保資金還流策を打ち出すとの期待などが背景にある。

 9日のアジアの取引時間には多くの専門家の予想通りドル安が進み、日本の当局が投機的な動きには介入を含めて対応すると警告する場面もあった。しかしニューヨーク市場に入ると、ドルは対円で切り返し、ユーロとスイスフランに対しても値上がりした。

 こうした値動きを受けても多くの銀行は長期的な為替予測を変更するまでには至っていない。ただクレディ・アグリコルはドル/円の目標を110円に置き、103円での買いを推奨した。

 これまでトランプ氏の当選はドル安要因との見方が大勢だったのは、世界的に金融市場が混乱してFRBが12月に利上げできなくなるというのが主な理由だった。しかし欧米株は持ち直し、そうした理屈は消えてなくなった。市場が織り込む12月利上げ確率は70%超に回復している。

 ロンドンのシティ・インデックスの調査責任者キャスリーン・ブルックス氏は「トランプ氏が勝ってもFRBの利上げ観測が戻ってきた。恐らくトランプ氏の勝利演説が融和的な姿勢だったことが(市場の)不安を和らげたのだろう」と話した。

 一貫してドル強気派のドイツ銀行のストラテジスト、ジョージ・サラベロス氏は、予想を修正する理由はないとみている。

 同氏が指摘するのは、トランプ氏が米企業の海外利益を還流させるための新たな税制を導入する可能性や、財政支出拡大が表明された点だ。「財政面でプラス要素がある一方、法人税制の改革で大規模な資金還流につながるかもしれない。(これは)ドルにとって好ましいというかなり整合的なメッセージだ」という。

 トランプ氏は米企業が海外に滞留させたままで課税されていない2兆1000億ドルの利益を積極的に米国に戻す方針を示している。議会選で共和党が上下両院の過半数を維持したため、ジョージ・W・ブッシュ政権の本国投資法成立が再現される公算は大きい。

 ただドル/円だけは事情が違うとドイツ銀のサラベロス氏は警告する。トランプ氏が中国などアジアに対する貿易障壁を設けた場合、同地域の市場にある資金は伝統的に安全な避難先とされる日本に向かうと予想するからだ。

 サラベロス氏は、この種の動きがアジアにもたらす混乱を受けて最も堅調になるのは円で、ドル/円は年末までに94円になるとの見方を示した。

(Patrick Graham記者)

関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事


ロイター発 World&Business

ロイター提供、日本と世界の最新ニュースをお届けします。

「ロイター発 World&Business」

⇒バックナンバー一覧