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ロイター企業調査:残業上限、「過労死基準」超や時間明記なし1割 8割は60時間内

2016年11月14日

[東京 14日 ロイター] - 11月のロイター企業調査によると、時間外労働の上限を労使間できめる36協定で、上限を月60時間以内としている企業が8割を超す一方、「過労死基準」とされる80時間超を許容している企業や時間を明記していない企業が1割を占めた。

残業時間の上限引き下げを検討している企業は14%にとどまったが、過半数の企業がフレックスタイム制や休暇取得奨励、業務効率化など何らかの労働時間改善を検討していることがわかった。

平均残業時間が最も長い業種は運輸業。次いで建設業や情報サービス業など、非製造業の残業時間が平均を上回る実態も明らかになった。

この調査は、資本金10億円以上の中堅・大企業400社を対象に10月26日─11月8日に実施した。回答社数は250社程度。

<36協定、月間残業80時間超許容は10%>

残業時間を最大何時間まで許容しているか、36協定における上限設定を尋ねたところ、月45時間までが57%と最も多かった。次いで45─60時間が25%。法律上、2.5割増と定められている割増賃金が、60時間を超えると5割増に跳ね上がるため、8割を超す企業が60時間以内に抑えている形だ。

他方、60時間以上を許容している企業が18%あり、労災認定の「過労死基準」とされる月80時間超まで許容している企業と、時間明記のない企業、協定のない企業が合計で10%あった。

時間外労働の上限引き下げを検討している企業は14%にとどまった。そのうち、1─5時間程度の引き下げを検討中の企業がほぼ半数を占め、10時間以上の削減に取り組もうとしている企業は35%だった。

一方、社員の労働時間について何らかの是正を検討している企業は全体の56%と、半数超となった。労働時間の見直しで検討している内容は「フレックス制の導入」、「休暇取得の推進」などが目立った。朝型勤務制や変則勤務、テレワークの導入を挙げる企業もあった。

ただ、「一般社員の残業削減は管理職の負担が増すだけ」(多数の企業)という側面もあり、「前例にとらわれない業務内容や体制の見直し」(食品)が必要との声も多い。また、残業代を前提とした収入で社員が生計を立てているケースもあることから、「時間外労働で削減できた残業代をそのまま従業員に還元する方向の施策を考えるべき」(情報サービス)との指摘もあった。

<建設・情報・運輸の3業種、長時間労働顕著>

一般社員の月当たり平均残業時間を聞いたところ、全体では20.7時間だった。数字上は1日1時間程度に収まっている計算だ。

しかし、業種によりばらつきが多く、特に建設業、情報サービス・通信業、運輸・不動産業での残業が際立って多かった。建設業では月平均45時間以上の企業が15%を占め、平均25.4時間。運輸業は26.8時間、情報サービス・通信は25.2時間と、いずれも産業平均を5、6時間上回る。

製造業は比較的残業が少ないが、輸送用機器は22.5時間と比較的長かった。

これらの業種では、36協定により労使で合意した上限時間も長い。建設・不動産業では80時間以上(明記なしも含む)の企業が28%、協定なしも5%となっている。

こうした状況を踏まえ、残業上限引き下げの動きも一部にある。「残業上限を125時間から80時間に変更、上限厳守の施策を作成、顧客への協力要請も開始」(情報サービス)、「検討部会を立ち上げ、現状把握と業務効率化を検討」(建設)などの取り組みも生まれている。

しかし、「労働者不足のため、なかなか削減できない」(運輸)、「時間外労働は生活給という一面もあり、削減すれば給与減を伴うことになる。組合を含めてコンセンサスを確立する必要がある」(建設)など、現実的な対応に頭を悩ませている姿も浮き彫りとなった。

(中川泉 梶本哲史 編集:石田仁志)

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