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焦点:GDPで鮮明な「動かぬ設備投資」、トランプ政策で拍車も

2016年11月14日

[東京 14日 ロイター] - 2016年7─9月期国内総生産(GDP)1次速報は、外需がけん引して前期比・年率プラス2.2%の堅調な成長となったが、内需は設備投資、個人消費とも停滞感が鮮明だ。また、トランプ次期米政権が法人税を大幅カットすれば、日本企業の設備投資は米国内にシフトする可能性もあり、日本国内での投資増に結びつく明確な道筋は不透明なままだ。

<ハードル高いGDP600兆円>

7─9月期GDPを点検すると、個人消費が小幅プラスにとどまり、設備投資は直近2四半期がマイナスだったにもかかわらずほぼ横ばいとなり、内需の弱さが目立った。

設備投資は年初来の円高に伴う企業業績悪化などで、企業の慎重姿勢が表れた形だ。日銀短観の設備投資計画では、大企業に限れば昨年より伸びは高くなっている。だが、実際のGDPデータでは、動意が感じられない。

今年12月発表の2次速報から、国際基準に沿って研究開発費が設備投資額に上乗せされる。日本政策投資銀行の調査によれば、設備投資に占める研究開発費の割合は、このところ大きくなっている。

しかし、GDP統計を作成する内閣府では、改訂によりGDP全体が名目値で20兆円程度上乗せされるとはいえ、成長率自体はほとんど変わらないとみている。

名目GDPは2015年度で500.6兆円だが、安倍政権が目指す600兆円に届くにはあと100兆円程度の増加が必要だ。

過去10年間を振り返ると、リーマンショックなどの劇的なマイナス要因があったとはいえ5兆円程度減少した。2020年ごろをメドに名目GDPを600兆円に拡大させるハードルは、相当に高いとみられる。

<注目されるトランプ新政策、投資は米国へ>

また、米国の次期トランプ政権が日本に対して内需拡大を求める可能性を指摘する声も浮上している。

クレディ・スイス証券・チーフエコノミスト、白川浩道氏は7─9月期のGDPについて「国内供給過剰状態が強まっており、輸出ドライブがかかりやすいことを意味している」と指摘。米新政権が日本の内需の弱さに懸念を表明し、もう一段の内需振興策を求めてくる可能性があるとみている。

一方で「トランプ政権の政策が明確になるまで、日本企業は設備投資に動けそうにない」──。SMBC日興証券・チーフマーケットエコノミストの丸山義正氏はこう予想する。

保護貿易主義を掲げ、輸入関税引き上げの可能性や、米国内の法人減税15%への引き下げなどが実行されれば、日本企業にとって米国への輸出環境は厳しさを増し、日本企業の投資は日本国内から米国内へ向かう流れが強まるというのが、丸山氏の見立てだ。

安倍晋三政権は未来投資に力を入れ、第4次産業革命による付加価値を2020年までに30兆円創出する目標を立てている。医療分野やIoT(モノのインターネット)、人工知能(AI)など情報化関連の研究開発を後押しし、企業の生産性向上を狙う。

しかし、日本企業の動きは鈍く、ロイター10月企業調査では、すでにロボットを導入した企業は半数以下、今後のIoT、AI活用について「検討していない」と回答した企業は4割を占めた。

大方の企業は、世界的な標準仕様が定まらない状況で投資を先行させても無駄になるため、「二の足を踏んでいる」とみられる。

こうした投資停滞感の強まりに政府内でも懸念の声が高まっており、安倍首相は今月8日の経済財政諮問会議で、来年度予算編成に向けた方針を示し、子育て・介護とともに「研究開発など重要な政策課題について、必要な予算措置を講じる」ことを指示した。

ただ、これまでの投資減税などの措置は、あまり効果を発揮していないとの指摘が専門家から数多く出ている。国内の設備投資を活性化するためには何が必要か──。

JPモルガン証券・チーフエコノミストの菅野雅明氏は「情報化投資を推進したいなら、政府がやるべきことは既得権益を保護する規制を取り払い、国内外の企業が新産業を展開できるよう、原則自由の環境を作り出すことだ」と指摘している。

*本文中の誤字を修正しました。

(中川泉 編集:田巻一彦)

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