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焦点:トランプ氏は過激公約実行するのか、固唾を飲む市場

2016年11月14日

[ニューヨーク 10日 ロイター] - トランプ次期米大統領が経済政策についての過激な公約をどの程度実行に移すのか、金融市場は固唾を飲んで見守っている。

選挙戦期間中のトランプ氏の発言は、論理が明確でなかったり文章が途切れていたりして、大幅な解釈の余地を残すものが多かった。

米連邦準備理事会(FRB)の歴史研究で知られるカーネギー・メロン大学のアラン・メルツァー政治経済学教授は「彼の発言は正気ではない。メキシコとの国境に壁を建てて同国にその資金を払わせるなど、異常な話なので、実現するはずもない。ただ発言に比べ、彼の行動はこれまでずっと穏当だった」と話す。

ただ、米議会選では上下両院を共和党が制したため、共和党大統領のトランプ氏は米国経済を劇的に変えられる力を持つ。

トランプ氏が掲げてきた公約は、大幅な減税、インフラ投資、規制緩和、医療保険制度改革(オバマケア)の撤廃などだ。

米国の財政赤字は現在、国内総生産(GDP)対比3.2%と、2009年の9.8%から大きく縮小し、金利は過去最低に近いため、トランプ氏は少なくとも短期的には大規模な財政刺激策を打てる余地がある。

大統領選の勝利演説では「幹線道路、橋、トンネル、空港、学校、病院、インフラを再建する。これが何よりも重要になるだろう」と述べており、インフラ投資優先の姿勢がうかがえた。

発言を分析するだけならよいが、すぐに投資行動を起こすのはいつも以上に危険だ、と語るのは、ヘッジファンドを運営するSPAGファンズのブライアン・シャピロ最高経営責任者(CEO)。「一言一句に反応していたら心臓発作を起こしてしまう」という。

<トランプ・ライト>

経済助言会社ファゾム・コンサルティングは今回の選挙結果を「トランプ・ライト(トランプのライト版)」と名付けた。実際に大統領に選ばれたトランプ氏は、メキシコ国境の壁建設や移民の強制送還、大規模な保護主義的政策といった極端な政策を実行に移すのをためらう、あるいは移せない、との見立てだ。

スリクマール・グローバル・ストラテジーズのコーマル・スリクマール社長も「大衆に受ける発言をしていた選挙戦期間中のトランプ氏のままなのか、あるいはもっと現実的に事に当たる大統領らしいトランプ氏になるのか、市場はじっと見守っている」と話す。

トランプ氏の経済チームは確立していない。貿易問題について中国への強硬姿勢を求めるカリフォルニア大アーバイン校のピーター・ナバロ教授などの助言に従うのか、あるいは財務長官候補に名が挙がっているゴールドマン・サックス出身のスティーブン・ムニューチン氏など、金融街の仲間達の意見に同調し続けるのか、定かでない。

このほか、選挙戦期間中にトランプ氏から離れたコロンビア大ビジネススクールのグレン・ハバード院長など、保守派経済学者が結局は経済顧問として戻るかどうかも注視されている。

トランプ氏は過去に、イエレンFRB議長の経済政策について「恥を知れ」と攻撃し、議長は政治的理由で金利を低く維持していると述べている。こうした発言を繰り返すなら、市場は荒れるだろう。

メルツァー教授は「トランプ氏は今のところ、なんとか言動を慎んでいる。大統領になってもそれができるかどうかが、彼の成否を決定付けるだろう」と述べた。

(Jonathan Spicer記者)

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