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アングル:高まる欧州選挙リスク、英米の結果で身構える市場

2016年11月15日

[ロンドン 11日 ロイター] - 英国民投票での欧州連合(EU)離脱派の勝利、米大統領選でのトランプ氏勝利──。既得権益層に対する大衆の反発を2度も見せつけられた金融市場は、来年に向け欧州で予定される国民投票や選挙で同様の事態が起こる可能性を覚悟し始めている。

来年はオランダ、フランス、ドイツで選挙が予定されており、場合によってはイタリアと英国でも選挙が行われるかもしれない。

当面の試金石となるのが、イタリアで12月4日に予定される憲法改正の是非を問う国民投票。同じ日にオーストリアでは大統領選挙の決選投票のやり直しが実施され、候補者2人のうち1人は極右の人物だ。

トランプ氏の財政拡張路線がインフレを招くとの見方から、欧米の国債相場はここ数日で全般に下落したが、中でもフランスとイタリアの下げ幅が大きいのも無理はない。

ドイツの10年国債利回りは11日の週に17ベーシスポイント(bp)程度上昇。これに対し、フランスとイタリアの10年国債利回りは政治リスクも織り込んで約25bp上昇している。フランス10年国債利回りは0.72%と、1月以来の高水準に迫り、ドイツとのスプレッドは44bpと、昨年7月以来で最大となった。

INGのシニア金利ストラテジスト、Martin Van Vliet氏は「英国の投票でアンチ既得権益層が勝ち、米国でも同じ結果が出たので、だれもが『来年はユーロ圏のどこで選挙があるのだろう』と調べ始めた。そう、フランスだ。こうした国々が危ないかもしれないと見て、市場はズームインし始めた」と話す。

フランス大統領選の仕組みを踏まえると、極右政党・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首が最終的に勝利する可能性は小さいと見られているが、世論調査によると、第1回投票での得票数はルペン氏が最多となりそうだ。

しかも米英の投票が予想外の結果だったため、市場はもう世論調査を鵜呑みにしなくなるだろう。

<株や為替も>

動揺は債券市場以外にも広がっている。株式市場では、トランプ氏勝利による「リフレ」相場がポピュリズム(大衆迎合主義)や保護主義の恐れを覆い隠しているが、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのデータによると、9日までの1週間で欧州株から16億4000万ドルが流出している。

今年最も大荒れを演じた英ポンド相場がここにきて回復していることは、今後の欧州各国の選挙に対する懸念を映し出している、との指摘もある。

三菱東京UFJ銀行のグローバル市場調査責任者、デレク・ハルペニー氏は「英国民投票での離脱派勝利はもはや、突出した出来事とは見られなくなり、ポピュリスト支持の投票が増える世界的な変革の始まりなのではないか、との見方広がっている。従って、(ポンドに対する)ユーロの下落は政治リスクプレミアムが英国から欧州に移る兆しと見るべきだ」と話す。

<伊首相に逆風>

トランプ氏の勝利により、12月の国民投票で負ければ辞任すると表明しているイタリアのレンツィ首相にとって、情勢は一層厳しくなりそうだ。ほぼすべての世論調査が、投票で憲法改正の反対派が勝利するとの見通しを示している。

こうした中、11日に実施されたイタリア国債入札では落札利回りが過去1年超で最も高くなった。

(Dhara Ranasinghe記者)

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