一旦、社会から離脱してしまった人たちが、どのようにすれば、再び社会とつながれるようになるのか――。若年者に限らず、いつでも何歳になっても、先が見えるように希望の道筋を示してあげることは、無縁化の進む日本社会が、これから取り組まなければいけない大きなテーマだ。

 実際に、長い引きこもり状態から抜け出し、就職という形で社会に出ていけるようになった人たちもいる。

 とても興味深かったのは、筆者が1月14日夜にスタジオ出演したNHK福岡で放送している『九州沖縄インサイド』という番組だ。九州・沖縄エリアの在住者以外にはあまりなじみはないと思うが、NHK「クローズアップ現代」のような内容のテレビ番組で、この日のテーマは「長期化する“ひきこもり”~親の高齢化が進む中で~」というものだった。

引きこもり経験者の社員は26名!
仕事が長続きするIT企業の秘密

 番組の中で、引きこもりだった人たちを積極的に雇用してきたIT系企業が出てくる。

 この企業は、エンジニアの派遣などを行っているが、引きこもり経験者の社員は、なんと26人に上る。そんな引きこもりの人たちが、段階的になじんでいけるように工夫していた。

 例えば、アルバイトに就いても長続きせずにすぐ辞めてしまう生活を繰り返し、6年間引きこもり状態にあったという男性は、「1日2時間」の出勤からスタート。昨年11月、正式に採用され、データ入力の仕事を任されているという。

 ポイントは、研修期間が設けられていて、本人と研修担当者がそれぞれ、得意なことや苦手なことなどを点数でチェック。引きこもっていた原因などを浮き彫りにする。