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アングル:ドル高過熱、オプション市場に気迷い 調整への警戒も

2016年11月16日

[東京 16日 ロイター] - ドル/円<JPY=>の上昇が続いているが、通貨オプション市場ではさらなるドル高に対する「気迷い」もうかがえる。日米金利差などからは買われ過ぎの領域との見方も出ており、調整局面入りに対する警戒感も強い。

<横ばいのリスクリバーサル>

米大統領選後、スポット相場のドル/円は5カ月半ぶりの高値となる109円台まで上昇した。これに対し、通貨オプション市場では、ドル/円リスクリバーサル(RR)25%デルタ1週間物(1W)が、大統領選直後こそ大きく変動したものの、その後はほぼ横ばいで推移している。1カ月物や3カ月物のRRも、1週間物とおおむね同様の動きだ。

両者の動きのズレは、投資家の「気迷い」を映していると、あおぞら銀行の市場商品部部長、諸我晃氏は解説する。足元のドル高/円安にはついていかざるを得ないが、先行きもこの傾向が続くことには自信が持てないことを示しているという。

スポット相場のドル/円は、多くの市場関係者の想定を上回る動きだった。米大統領選の開票中にいったん101円前半に下押ししたドル/円は、その後に反転し「トランプ期待」を織り込みながら、わずか5日で109円台まで駆け上がった。

1週間物のRRは、米大統領選の開票中にトランプ氏の優勢が伝わった際、ドル安/円高の見方を映すドル・プット・オーバーの傾きを一時5%超に拡大。その後のトランプ氏の勝利宣言を挟んで、リスクに備えたヘッジの巻き戻しや、政策期待による米長期金利・米株価の上昇を受け、その傾きを一時0.7%付近まで急速に縮めた。

ここまではスポットの動きと方向感が概ね同じだったが、スポットで108円、109円と水準が切り上がるのを横目に、1週間物RRは傾きを1.2%付近に再び拡大。その後、足元にかけて方向感の出ない動きとなっている。

ドル/円は、目立った下落リスクが顕在化しているわけではない一方、「オプション市場では、先行きどんどん上がっていくという見方も見受けられない」と、あおぞら銀行の諸我氏は指摘する。RRは、ドル高/円安予想を映すドル・コール・オーバーのサイドには転換しておらず「さらなる円安への期待が高まっているとまでは言えない」との見方だ。

<短期的には「買われ過ぎ」の指摘も>

実際、市場では足元のドル/円は「買われ過ぎ」の領域に入っているとの警戒感も台頭してきている。足元のスポット相場の急上昇は投機の側面が強いと見られており、市場では「はしごを外されるリスクを警戒する必要がある」(別の国内金融機関)との声も多い。

JPモルガン・チェース銀行の為替調査部部長、棚瀬順哉氏は「米大統領選後、ドル/円は日米10年金利差と比べ、過小評価された状態が続いていたが、昨日は金利差縮小にもかかわらず上昇を続け、金利差対比で買われ過ぎの領域に入ってきた」とみている。

棚瀬氏によると、2001年から現在までの米金利との相関をみると、足元のドル/円の適正水準は105円。米10年債利回りが昨年6月高値の2.5%に上昇しても108円にとどまるという。

みずほ証券のチーフ為替ストラテジスト、山本雅文氏は、目先はドル高トレンドが強くドル/円の一段高もあり得ると見るが、ドル実効相場が年初の高水準に接近していおり、米国サイドからドル高けん制やトランプ次期大統領による保護主義を想起させるような発言が出てくるリスクがあるとして「調整にも注意が必要」と指摘している。

(平田紀之 編集:石田仁志)

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