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焦点:中短期金利が急上昇、円安・株高受けた緩和期待の後退で

2016年11月16日

[東京 16日 ロイター] - 16日の円債市場で、中短期金利が急上昇した。トランプ氏が勝利した米大統領選後に進む円安・株高を受けて、日銀の追加緩和観測が大きく後退し、過剰なリスクを落とす動きが加速した。

ただ、財政拡大路線を掲げるトランプ氏の政策実行性に懐疑的な見方も根強く、円安・株高に歯止めが掛かれば、債券買いが再開する可能性もある。

<マイナス金利深掘りの期待後退>

 「日銀は現行の金利上昇を容認している」(国内証券の債券関係者)──。日銀は16日に実施した中期・長期を対象にした国債買い入れで、オファー額を増額せずに据え置いた。

市場では金利上昇に対するけん制姿勢を示さなかったとの受け止めが優勢になったという。中期対象の買い入れが低調となり、午後の取引では、前日の5年債入札で在庫を抱えた証券からの投げを誘発した。

5年債利回り<JP5YTN=JBTC>は前日比8bp高いマイナス0.040%と1月29日以来、2年債利回り<JP2YTN=JBTC>は同9bp高いマイナス0.095%と2月1日以来の水準に上昇した。

日銀が当座預金残高の政策金利残高に適用しているマイナス0.1%をともに上回った。金利水準だけでいえば「もはやマイナス金利深掘りの可能性が消滅する水準」(同)まで切り上がったことになる。

背景には米大統領選で勝利したトランプ氏の政策期待がある。「トランプ氏が掲げる10年間で1兆ドル規模のインフラ投資をはじめ、大規模な財政出動、広範にわたる減税といった政策で、米経済が押し上げられるとの思惑から円安・株高が進み、インフレ期待の高まりで米連邦準備理事会(FRB)の12月利上げを支援するとの思惑が浮上している」(クレディ・アグリコル証券・チーフエコノミストの尾形和彦氏)という。

<日銀YCC後に膨らむ先物売りポジション>

 「10年最長期国債利回り(長期金利)はプラス0.100%を目指す動きになるのではないか」と国内金融機関の債券関係者はみる。

同関係者は、米大統領選前の10月初旬から債券相場先行きに対する見方を弱気に切り替えた。日銀が9月21日に「イールドカーブ・コントロール(YCC)政策」の導入決定後、国債先物オプション取引でプット(売る権利)の買いポジションが膨らんだためだ。

国債先物オプション価格の149円50銭におけるプット建玉は、15日現在で6063枚とこの1カ月間で5000枚余り急増した。「日銀のYCC政策導入によって、長期的に国債買い入れを軸にした量の限界を意識。短期のマイナス金利が変わらなくても、イールドカーブが超長期にかけて上方にシフト(金利が上昇)し、事実上のテーパリングとの見方が市場に広がったのだろう」と、同関係者はオプション取引における売りポジションを分析する。

<日銀の許容上限はプラス0.10%か>

国債先物価格149円50銭を10年債利回りに引き直すと、おおむねプラス0.10%程度。日銀のYCC政策では、短期のマイナス金利政策とともに、10年国債金利の操作目標をゼロ%程度を設定している。「日銀が許容する10年債利回りは、0%を中心にマイナス0.10%からプラス0.10%程度ではないか」(国内証券)との市場の見方が出ている。

ただ、このまま一本調子で金利が上昇するとの見方は少ない。トランプ氏の政策期待で円安・株高・金利上昇に振れているが、その実行可能性に不透明が強いためだ。「トランプ氏の正式な政策や確たる数値で(相場が)動いているわけではなく、あくまでも憶測に過ぎない。どこかで円安・株高・金利上昇が収まってくる可能性が大きい」(尾形氏)との声が少なくない。

(星裕康 編集:田巻一彦)

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