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焦点:日銀、物価見通し小幅上方修正も トランプ氏当選後の円安好感

2016年11月16日

[東京 16日 ロイター] - 日銀がトランプ氏の米大統領選勝利後の円安・株高進行で、物価見通しを小幅上方修正する可能性を指摘する見方が浮上している。また、企業や家計の心理が好転し、プラスの循環が生まれ、緩和効果が強化されるとの期待感も出ている。

ただ、市場が反転すれば、デフレ方向への圧力が強まることになり、円安・株高の持続性の行方を注意深く見守っている。

<長期金利コントロールに手応え、金利差拡大で円安>

日銀内では当初、トランプ氏勝利なら、円高・株安が進むとの見方が多かったが、現実には急激な円安・株高が進み、デフレ圧力の後退要因として好感している。

複数の日銀関係者は、トランプ氏が選挙戦で言及した所得税・法人税の大幅減税、インフラ整備などによる大規模財政出動の影響に市場が注目。米長期金利が大幅に上昇する一方、米国の成長率が高まるとの期待感で、米株高も同時進行している点に注目している。

また、1.7%付近から一時、2.3%台に急上昇した米長期金利の動向が、日本の国債市場にどのように波及するのか注目されている。

16日の東京円債市場では、10年最長期国債利回り<JP10YTN=JBTC>が一時、0.035%まで上昇したが、日銀の目標とするゼロ%程度の範囲にとどまっている。

日銀は「イールドカーブ・コントロール(YCC)が機能している」(幹部)と評価。そのことが結果的に日米金利差の拡大となって、足元の円安進行の要因になっていると分析している。

前回10月31日、11月1日の金融政策決定会合では、2016年度から18年度までの物価見通しをそれぞれ引き下げ、2%の物価目標達成時期も2018年度に延期したばかり。

だが、1週間で8円という急激な円安が進行。複数の関係筋によると、日銀内部では、16年度と17年度の物価見通しを0.1%ポイント程度上方修正する可能性を議論すべきとの声も出ている。

<指値オペや買い入れ増減、議論なし>

今年9月に日銀は、金融緩和の程度を図る目安をこれまでの「量(マネタリーベース)」から「金利」に転換。短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度とする「イールドカーブ・コントロール(YCC)」を導入した。

金利が上下に急変動すれば、国債の買い入れ規模を増減したり、特定の年限の金利コントロールを意図した「指値オペ」を導入する方針も打ち出した。

複数の関係筋によると、現時点では、指値オペや国債買い入れの増額・減額は全く議論されていない。

米長期金利が上昇しても、国債運用ニーズの高い日本国内では、長期金利が急激に上昇する可能性は低いとみているためだ。

イールドカーブが日銀の目安の範囲内にとどまっている限りは、国債買い入れを増減する理由もないとの意見が多い。ある日銀OBは「当面は、政策変更がない可能性がさらに高まった」と述べる。

<円安・株高の持続性には慎重>

一方、円安・株高の持続性について、日銀内では慎重な意見が多い。トランプ氏の選挙期間中の発言には保護貿易や同盟関係の見直しなど、世界経済や安全保障に対する不透明感を高める内容も少なくなかった。

黒田東彦総裁は14日の名古屋市内での会見で、トランプ氏が反対を表明している環太平洋連携協定(TPP)が白紙となった場合には「潜在的に得べかりし大きなプラスが失われる可能性がある。その意味では(日本経済にとって)マイナスといえるかもしれない」と懸念を示した。

日銀では、トランプ次期政権の具体的な政策と実現性などを踏まえ、米国だけでなく世界経済に及ぼす影響や金融市場の先行きをにらみつつ、日本経済の今後の軌跡を慎重に見守っていく方針だ。

(竹本能文、伊藤純夫 編集:田巻一彦)

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