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焦点:1週間で8円の円安、政府内に警戒感 米次期政権の政策手探り

2016年11月16日

[東京 16日 ロイター] - トランプ氏の米大統領当選後、約1週間で8円の円安が進行している。超大型の財政出動を市場が好感した結果とも言えるが、日本の政策当局者の中には、米新政権が進行中のドル高/円安を本当に受け入れるかはっきりせず、先行きの不透明さを指摘する声もある。

また、急速な市場変動は巻き戻しのリスクも高まると警戒する見方もある。米国の新チームがどのような政策を志向するのか、日本サイドは手探りの状況が続く。

<日本政府が予想できなかったドル高/円安の進展>

米大統領選前、政府では「トランプ氏勝利なら、リスクオフによる円高」を予想する声が多かった。

しかし、選挙結果を受けて円はいったん円高方向に動いたものの、1ドル=101円台から方向転換。9日夕方(日本時間)から米長期金利の急上昇と歩調を合わせるように円安が急進、15日の米市場で109円台に乗せた。

大統領選の結果判明後、財務省幹部は「トランプ氏の政策が、過激な部分を除けば市場にフレンドリーだということが意識された」と分析した一方、「わずか1日で戻すとは」と意外感を隠さなかった。

複数の政府筋によると、トランプ氏当選後に大幅な米金利上昇とドル高の進展を予想していた向きは、政府内には皆無だったという。

<米側からけん制発言なし>

開票から約1週間で8円も円安が進んだことに対し、政府内では「ファンダメンタルズとそれほどかい離した動きではない」との見方がある一方、急速な円安に困惑する声も上がる。

米財務長官などトランプ新政権の主要閣僚の顔ぶれが明らかになっていない中で、仮に財政健全派の人物が登用されれば、マネーの流れが逆回転し、一気に円高方向へ向かうリスクを警戒する声も、政府内にある。

ただ、複数の関係者によると、トランプ次期大統領や政権移行チームのメンバーと日本側のパイプは太くはなく、新政権の金融政策を含めたマクロ政策や為替政策の方向性を予測するには材料が少ないという。

また、今のところ、米側から足元の円安進行を警戒、けん制する声は出ていないもようだ。

日米両国は、これまで20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議などの国際舞台で、為替動向をめぐってけん制し合ってきた経緯がある。

円高局面で日本が「偏った動き」と指摘するのに対し、米国が「秩序立った動き」と応じる構図も、過度な円安が進めば「日米の立場が変わる可能性もある」(政府関係者)という。

<トランプチームの本音見えず>

こうした状況を踏まえ、政府は要人発言に慎重を期し、市場に無用の刺激を与えないよう苦心している。

短期的には、ドル高/円安は輸出系企業の収益を底上げし、日本株の支援要因になる。円安による輸入物価の上昇は、足元で小幅なマイナスとなっている消費者物価指数(CPI)をプラス圏に押し上げる効果も期待できる。

しかし、急速な円安が中小企業の収益を圧迫したり、物価上昇が年金生活者の消費性向を低下させ、国内景気を冷え込ませるリスクもある。

何より、トランプ次期大統領とその周辺が、「円安批判」を声高に主張するようになってしまえば、日米関係にひびが入りかねないリスクを高めてしまう。

トランプ次期大統領と周辺の「本音」が見えない中では、「様子を見るしかない」との声が政府関係者から数多く漏れてくる。

ある財務省幹部は「山高ければ谷深しだ」と相場動向に警戒感をにじませたが、「そう言うことくらいしかできない」とも語った。

(梅川崇 編集:田巻一彦)

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