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焦点:日銀の指し値オペ、米金利の上昇継続時に試される対応力

2016年11月17日

[東京 17日 ロイター] - 日銀は17日、市場の意表を衝いて「指し値オペ」を初めて実施した。米国債利回りの急上昇の影響が日本国債にも波及。日銀が貸出との関連で重視している2─5年ゾーンの金利が目立って上昇したためだ。

最適な金利の形状をより具体的に示したと言え、今後は超長期ゾーンでも同様の対応をするのか注目される。ただ、米金利上昇圧力が強まった場合、果たして抑え込めるのか、「未知との遭遇」で日銀の対応力が試される。

<意表突いた時期と対象ゾーン>

トランプ氏の米大統領選での当選が決まった9日(日本時間)以降、米金利の急上昇を受け、2年国債、5年国債の利回り上昇幅は、ともに10ベーシスポイントを超えた。

日銀内では、最近まで「現段階で指し値オペの議論はない」(日銀関係者)との声が出ていたが、急激な中短期ゾーンの金利上昇を放置すれば、長期金利の上昇圧力も高まり、日銀が採用したイールドカーブコントロール(YCC)の運用に支障が出かねないとの懸念が、急速に高まったもようだ。

また、銀行勢の貸出水準に大きな影響を与える中短期ゾーンの大幅上昇は、貸出への悪影響も招きかねないとの警戒感もあったもよう。

金融調節担当を担当する金融市場局は、今回の指値オペについて「このところの中短期金利の急激な上昇に対応し、調節方針と整合的なイールドカーブ形成のため実施した」(同局関係者)と述べた。

今回の指し値オペの結果、市場では「2年でマイナス0.09%、5年でマイナス0.04%が当面のソフト・ターゲットとして加わった」(外資系証券)との見方が浮上。より具体的なイールドカーブ形成のイメージが出来上がった。

日銀としても、YCCの円滑な運営のため、日銀が適切と考えるイールドカーブの一定水準を市場に意識させる狙いもあったとみられる。

また、市場では中短期ゾーンで指し値オペを実施した以上、超長期ゾーンの金利が日銀の思い描く「適正な」カーブから上振れた場合、超長期ゾーンを対象にした指値オペを実施するのではないかとの思惑が早くも浮上している。

日銀はこの点に関し、公式な見解を示していないが、政府内には超長期ゾーンの急激な上昇は望ましくないとの見解もあり、日銀がそうした声を意識する可能性はありそうだ。

<米金利上昇、長期化へ溜まるマグマ>

さらに問題になるのは、9日以降に始まった米長期金利の上昇が短期間で終息するのか、それともマクロ環境の変化を背景に長期化するのかという中長期的な観点からの見通しだ。

日銀内では、今のところ米次期政権の経済政策の中身が明確でなく、米国市場のリスクオンや金利上昇がいつまで持続するのか不明だとの見方が聞かれる。トレンド的な金利上昇は想定していない、と見ている日銀関係者もいる。

ただ、民間のマクロ経済の専門家や一部の日銀OBの中には、完全雇用に近づいている米国経済で、大規模な財政出動を展開すれば、マクロ的な環境としては、ドル高と米長期金利の上昇が大幅に進むと予想するのが自然との見方がある。

仮にそうした見通し通りになれば、日本国債の利回りにかかる上昇圧力はさらに強まり、かつ長期化する可能性がある。

<指値オペは万能か>

その際に日銀はどうするべきなのか。日銀内では、金利上昇に対しては、力ずくで抑え込むことによって、緩和効果をさらに強めることが重要との声が多い。

黒田東彦総裁は17日の参院財政金融委で、「米国の金利が上がったから、自動的に日本でも金利の上昇を容認しなければならない、ということにはならない」と語った。

しかし、市場関係者の一部には、指し値オペの実施を頻発した場合、最も抑え込むべき時期に、その薬の効果が薄れてしまう事態もあるのではないか、と先行きを懸念する声が聞かれる。日銀のYCC対応力が「オールマイティーとは考えない方がいいのではないか」(国内銀関係者)との声もある。

日銀と市場の神経戦は、トランポノミクスの展開という「外的要因」をにらみながら、これから本格化しそうだ。

(竹本能文、伊藤純夫 編集:田巻一彦)

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