自覚症状に頼れないからこそ、
40歳を過ぎたら定期的な検査を

 冒頭でも述べたように、一度障害された視神経は二度と再生しない。失明を食い止めるには早期発見が重要であり、自覚症状に頼れない緑内障では、人間ドックなどによる検査が不可欠だ。

 日本人に多い正常眼圧緑内障のように、眼圧を調べるだけでは診断できない緑内障もあることから、検査にはさまざまな手法が用いられる。目はデリケートな器官であるため、検査を受けることに恐怖感を覚える人も少なくないが、緑内障の検査は痛みもなく、比較的すぐに終わる。早期発見のためにも、40歳を過ぎたら定期的に検査を受けることをお勧めしたい。

●眼圧検査
 房水の循環によって保たれている眼圧を測定するための検査。正常眼圧は10~20mmHg。高値の場合は緑内障が疑われ、網膜剥離や虹彩毛様体炎などでは正常以下となることもある。検査の方法には、眼球に測定機器を接触させることで眼圧を測るものや、圧搾した空気を眼球に吹き付け角膜の凹み具合で眼圧を測るノンコンタクト眼圧計を用いる方法などがある。

●眼底検査
 視神経がどの程度障害されているのかを調べるための検査。瞳孔を通して、視神経が集まる視神経乳頭、眼底の血管や網膜などを観察する。緑内障では網膜の神経線維に欠損部位が表れ、視神経乳頭の凹みが拡大することが知られている。瞳孔に光を当て検眼鏡で眼底を観察する直像検査法、細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)と専用レンズを用いて観察する方法などがある。

●視野検査
 視野計と呼ばれる機器に顔を固定して中心のマークを見つめ、光や色が見えたらボタンを押すなどして視野の範囲や欠損の有無を調べる検査。緑内障の症状は進行が遅く、また両方の目がそれぞれの視野を補ってしまうため、日常生活では見えないことに気づきにくい。視野検査は片目ずつ行い、両目の検査が終わるまで15~20分程度の時間を要するが、定期的に検査を受けることで自覚しにくい欠損の進行度を確認することができる。

●画像検査(OCT)
 OCTとは「Optical Coherence Tomography」の略。日本語では光干渉断層計と呼ばれ、3次元で眼底画像の撮影が可能な最新の検査方法だ。網膜の構造を断面的に見ることができ、網膜神経線維層の欠損を直接確認することで緑内障の診断に役立てられる。眼圧の高くない正常眼圧緑内障の検査にも有効。一般の眼科クリニックでも導入が進んでおり、正常眼圧緑内障の早期発見を促進すると期待されている。