事業の陳腐化による業績悪化の後、見事に復活を遂げる企業がある。レゴやライカの事例から、その要諦を学ぶことができる。


 いつ何時も、企業の約5~7%は「失速」の状態にあるか、その状態に陥ろうとしている。

 我々の言う失速とは、時代に立ち遅れ衰退する危機であり、企業のライフサイクルのどの時点でも起こりうる。だが失速が最も頻繁に見られるのは、成熟した既存企業だ。そのビジネスモデルが反乱勢力の攻勢にさらされている、あるいは変化し続ける市場でもはや通用しない、という場合である。

 さらに、次のような厳然たる事実がある。これらの企業のうち、失速から抜け出せるのは約10~15%にすぎない。抜け出せる企業の約半数は、中核事業の少なくとも一部を根本的に見直すことを余儀なくされている。

 最初のうち、失速の原因は外部要因であろうとされる。世界金融危機、銀行システムの破綻、政府による規制撤廃。もっと一般的なものとしては、敏捷な反乱勢力が可能にした新たなビジネスモデルやテクノロジー。ただ、こうした外的な混乱はたいてい、失速の誘因ではあるが原因ではない。

 コダックの例を考えてみよう。1990年代には明らかに、中核事業のフィルムで市場シェア80%という不動のトップにあった。その後の成り行きは誰もが知っている。デジタル技術による破壊的変化への対応に失敗して失速し、2012年に破綻した。しかし同社の技術者は、1975年にはデジタル画像をキャプチャーする技術を発明していたのである。コダックのような企業の終焉の背後には、破壊的技術そのものとは別の何かがあるのは間違いない。

 かつて成功を収めた企業が、なぜこのような致命的な転落に陥るのか。

 理由を探った我々は、その根本原因がたいてい内部にあることを突きとめた。リーダー陣が外部の問題に備えていない、あるいは迅速に適応しない。ビジネスにおける第一世代のエンジンが古くなったのに、第二世代のエンジンを準備できていなかったケースもある。企業内部の組織的な機能不全のせいで、外部の重大な戦略的課題にうまく対処できなかったのだ。

 また、失速は企業の価値を必ず押し下げるとは限らず、大きくプラスに転じさせる原因になることもわかった。適切に対処すれば、とてつもないチャンスとなるのだ。その好例としてアップルは、1990年代後半に壊滅的な失速から抜け出し、その後はかつてない新たな高みに上りつめた。

 他の企業もそうすることは可能だ。失速に陥った何百もの企業を研究・協働の対象とした我々は、再建と変革を成功させるために経営陣が実行できる具体的なステップを特定した。