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アングル:ドル/円上昇モメンタム衰えず、イベントリスクこなせるか

2016年11月24日

[東京 24日 ロイター] - ドル/円<JPY=>の上昇モメンタムが衰えない。トランプ次期米大統領の政策への期待先行の面が強いとはいえ、堅調な米経済指標や米金利の上昇も追い風となっている。来週以降に控えるリスクイベントを、過熱感を抱えたまま、このまま無事通過できるか、注目されている。

<堅調な経済指標が後押し>

トランプ氏が掲げる大規模な財政支出が実際にできるかは未知数だ。議会では共和党のタカ派を説得しなければならないし、債務問題も消えたわけではない。その意味では、今のドル高は期待もしくは思惑先行なのだが、好調な米経済指標という追い風が吹いているところに、上昇モメンタムがなかなか衰えない秘密がある。

23日発表した10月の米耐久財受注は前月比4.8%増と昨年10月以来1年ぶりの大きな伸びとなった。民間設備投資の先行指標とされるコア資本財の受注は0.4%増。「米製造業が緩やかながら回復していることを示す」(外資系証券エコノミスト)と受け止められ、ドル買い材料となった。

このほか、住宅着工件数や新築住宅販売戸数、小売売上高など10月の経済指標は総じて堅調。米大統領選前のデータではあるが、第4・四半期の米経済が勢いを増していることを示唆している。12月の米利上げはほぼ完全に織り込まれたものの、市場が予想する来年以降の利上げ回数も増える兆しをみせている。

シティグループ証券のチーフFXストラテジスト、高島修氏によると「まだ天井を確認したとは言えない」という。反発局面が終了したと判断するテクニカル的な最低限の要件は、日足転換線109.80円前後を割り込むことだとしたうえで、「目先は週足雲の上限115.60円前後などを念頭に、上振れリスクを警戒するのが妥当だろう」との見方を示す。

<日々強まる過熱感>

ただ、足元のドル高や米金利上昇の影響が、米経済にどうでてくるかはまだ経済指標には表れていない。

11月18日までの週の米住宅新規購入向けローン申請指数は18.8%上昇の234.1と、週間の上昇率としては昨年10月2日以来の大きさを記録した。金利の先高観から駆け込み需要があったとみられている。駆け込み後は反動減への警戒感が強まる。

過去2カ月の日米の10年金利差の相関に基づいた場合、整合的なドル/円の水準は110円半ばであり、現状の水準はフェアバリューを2円程度上回っていると、JPモルガン・チェース銀行の為替調査部部長、棚瀬順哉氏は指摘する。

主要通貨に対するドル指数<.DXY>は101ポイントを超え、13年ぶりの高水準に上昇している。米経済に与えるドル高の悪影響が明らかになれば、次期米財務長官からドル高けん制発言が飛び出す可能性もある。

また来週以降は、リスクイベントが控えている。石油輸出国機構(OPEC)総会(11月30日)に加え、イタリアの憲法改正の是非を問う国民投票(12月4日)も控える。米12月米連邦公開市場委員会(FOMC、12月13─14日)で材料出尽くし感が広がるおそれもある。

野村証券のチーフ為替ストラテジスト、池田雄之輔氏は「ここからはトランプ氏の政策を見極めないと、米金利の追加的な(政策)織り込みには限界があるのではないか」とみる。財務長官や通商代表、商務長官という経済チームの陣容が固まっていない段階であり、「北米自由貿易協定(NAFTA)の問題などは後回しになっているにすぎないかもしれない」という。

一方、市場では「とりたててドル/円を売る材料は見当たらない。目をつぶって流れについていくしかない」(国内金融機関)との声も出る。勢いについていかなければ、リターンが得られない現状の中で、過熱感と向き合いながら、上値を見極めていくことになりそうだ。

(平田紀之 編集:石田仁志)

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