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産総研、AI特化のスパコン開発に着手 深層学習で世界一狙う

2016年11月25日

[東京 25日 ロイター] - 経済産業省所管の国立研究開発法人、産業技術総合研究所(産総研)が人工知能(AI)の中核技術、「ディープラーニング(深層学習)」の演算能力で世界一を狙うスーパーコンピューターの開発に乗り出したことが分かった。

産総研の担当者などが明らかにした。新型スパコンはAI技術を必須とする自動運転など最先端の産業技術開発を促進する役割が期待されている。

スパコンのハードウェアと収容する施設、研究用の設備も含めた事業費は195億円。10月成立した2016年度第2次補正予算に計上された国費を投じ、2017年度の稼働を目指す。

産総研が開発するのは「人工知能処理向け大規模・省電力クラウド基盤(ABCI=AI Bridging Cloud Infrastructure)」。深層学習の演算性能で130ペタフロップス(ペタフロップスは毎秒1000兆回の浮動小数点演算能力)を目指す。

AIに特化したり、深層学習の計算能力を数値目標に掲げているコンピューターでは世界最高水準となる見通しで、産総研情報・人間工学領域長の関口智嗣氏はロイターに対し「我々が把握する限り、この規模だと世界的にみてもないと思う」と述べた。

政府が国家プロジェクトとして開発を推進したスパコン「京」や、その後継機として文部科学省主導で開発中の「ポスト京」は高速の科学計算ができる汎用型。これに対し、新たに開発されるABCIは各産業によるAI利用の推進やその支援を大きな目的に掲げている。

京は計算速度を競う「TOP500」で2011年に世界一に立ったが、現在は中国の「神威太湖之光」など海外のスパコンとのスピード競争で厳しい状況に置かれ、直近では7位に順位を下げている。

政府はABCIへの予算投入を通じて、AI活用というより実利的な分野で世界的な優位性を確保したい考えだ。ポスト京もTOP500での速度競争に積極的には参戦せず、「実用で京の100倍の成果を出せる性能を目指す」(開発担当の理化学研究所)と、従来の開発方針を転換させている。

<自動運転など応用見込む>

ABCIが重視する深層学習技術は、データから特徴や法則性を見つける「機械学習」の一種。人間の脳の神経回路の仕組みを用いることで画像や音声などの大量のデータの特徴を多段階により深く学習するこが可能になり、近年のAI開発で急速な進化をもたらした技術とされる。

今年春に、米グーグル傘下のAI開発会社ディープマインドが開発、深層学習を用いた囲碁のAI「アルファ碁」が韓国のプロ棋士のイ・セドル九段を破ったことで、一般社会にも同技術に対する注目が広がった。

関口氏は、「ディープラーニング、機械学習の技術は大量のデータを処理すればモデルの精緻化が可能になる。そのためには、できるだけ処理能力の高いコンピューターが必要になる」と、開発の意義を強調する。

ABCIで想定する利用対象として、関口氏は、1)自動運転、2)工作機械の運転状況の把握、3)医療診断支援━などを挙げた。「日本の産業、製造業が必要とする機械学習をアウトソーシングする場にしたい」としている。

産総研は先月末、国内外に向けてABCIを構成するスパコンの調達を公示。ハードウェア製造を担うメーカーなどから12月8日まで提案を受け付ける。

経済産業省によると、産総研が調達するスパコンは東京・お台場にある産総研の施設と東京大学柏キャンパス(千葉県柏市)に設置する。

入札に参加するとみられる主要コンピューターメーカーは、「個々の商談にはコメントできないが、AI,スパコンなど当社も力を入れて取り組んでいる分野で、様々な商談に向け積極的に提案していきたい」(富士通<6702.T>)、「個別の入札にはコメントできない」(日立製作所<6501.T>)、「コメントできない」(NEC<6701.T>)としている。

(浜田健太郎  編集:北松克朗)

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