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アングル:2017年市場コンセンサスと注目すべき「7つの論点」

2016年11月28日

[ロンドン 23日 ロイター] - 2016年は政策、経済状態、ファイナンスのすべてで潮目が一変した。こうした中で投資家は既に期待と不安を交えながら17年に目を向けつつある。

幅広く形成されたコンセンサスは、35年続いた債券の強気相場は幕を閉じ、インフレが再燃、金融政策は限界に達しており、次に景気刺激策が打ち出されるとすれば、財政になる、というものだ。

これが市場に及ぼす影響を考えると、債券利回りと先進国株、ドルはさらに上昇する一方、新興国の通貨・株・債券は苦戦することになる。株式を詳しく見れば、先進国が新興国を、景気循環銘柄がディフェンシブ銘柄をそれぞれアウトパフォームし、銀行株はイールドカーブのスティープ化から、住宅・建設株はインフラ支出から恩恵を受けるだろう。

ではこういったコンセンサスに反するような材料や論理上の欠点は見当たらないと言えるか、逆に広範なコンセンサスにおいて特に注目すべき予想や推奨トレードはないのかを探ってみた。

(1)債券利回り低下の可能性

直近で米国債利回りが歴史的低水準に下がった事態を正確に予想したHSBCは、利回りが来年上昇する公算は十分にあり、米10年債は2.5%に達するとみている。

ただしその時期は第1・四半期だ。HSBCの債券ストラテジスト、スティーブン・メージャー氏によると、それ以降は利回りが低下し、再び今年つけた数十年ぶりの低水準の1.35%に戻る見込み。2.5%までの金利上昇は、金融環境の引き締まりによって景気の足を引っ張り、米連邦準備理事会(FRB)の利上げを抑える結果、持続不能になるからだという。

(2)2016年「ピーク説」

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは、2016年が流動性、格差、グローバル化、デフレのいずれにおいてもピークに達し、過去最大の債券強気相場は終わりを迎え、来年はすべての流れが逆転すると予想。2006年以降で初めて、G7諸国では大幅な金融緩和は実施されず、金利とインフレは想定よりも上振れするとみている。

同社は債券の強気相場終了時期について、米30年債利回りが2.088%に下がった16年7月11日だった可能性が大きいとの見方も示した。

(3)ブラックスワン

ソシエテ・ジェネラルのエコノミストチームは、ほとんど誰も予想できずに大きな衝撃をもたらす「ブラックスワン」の要素として4つを挙げる。もし現実化すれば来年の見通しを覆す可能性が大きい要素は政治的な不確実性=発生確率30%、債券イールドカーブの急速なスティープ化=25%、中国のハードランディング=25%、貿易戦争=15%──だと説明した。

(4)ユーロ高

UBSは「ドルは他のG10通貨に対して過大評価されている」というあまり耳にしない見解を打ち出している。ユーロ/ドルはパリティ(等価)ないしそれ以下に下落するとの予想が強まっている流れに逆らい、UBSは来年末に1.20ドルまでユーロ高が進むと予想。欧州中央銀行(ECB)のテーパリング(緩和縮小)もユーロを支えると見込んだ。ポンドも過小評価されているため、対ドルで上昇するという。

(5)新興国資産にも推奨取引

来年はドル高と米債利回り上昇が新興国市場に打撃を与えるとの見方に異論を差し挟む向きはほとんどいない。ゴールドマン・サックスはずっとドル高と利回り上昇を唱えてきた。ただし同社の来年の推奨トレードには、新興国資産買いが絡むものが2種類ある。

1つはブラジルレアル、ロシアルーブル、インドネシアルピア、南アフリカランドの均等な通貨バスケットを買い持ち、韓国ウォンとシンガポールドルの均等な通貨バスケットベースを売り持ちにする取引。もう1つはブラジル、インド、ポーランドの株の買い持ち継続だ。

(6)ECBはテーパリング不可能

インフレが底を打ち、FRBが利上げに動きつつあることに伴い、ECBも毎月800億ユーロの資産買い入れ(量的緩和=QE)のテーパリングに乗り出す、という観測は正しいか。

恐らくは間違いだろう。RBCキャピタル・マーケッツは、ECBが12月にQEの期限を延長するだけでなく、来年終盤に物価上昇と経済成長が不十分になって再延長に追い込まれるとみている。「来年末になろうという時点でもなお、金融政策を巡る議論の焦点は今と非常に似通った内容になる。つまりECBがどうやれば景気刺激を続けていけるかということだ」という。

FRBとECBの金融政策の違いにより、欧米の国債利回りのスプレッドはさらに拡大する可能性がある。

(7)トランプ減税は株価に追い風

トランプ次期米大統領が公約通りに法人税率引き下げを実施した場合、米企業が海外にとどめている利益をどれぐらい還流させることができるだろうか。ドイツ銀行の試算では、それは約1兆ドルに達する。既に最高値圏にある米国株にとってさらに相場を押し上げる要因となってもおかしくない。

シティは、世界の株価は来年、先進国が主導する形で10%上昇するとみている。10%のドル高と米国の法人税率の20%への引き下げが、世界全体で企業の1株利益を6%増加させる可能性があるという。

(Jamie McGeever記者)

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