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債券から株への「大転換」、今回は本物の可能性

ロイター
2016年11月29日
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11月25日、債券から株式への大規模な資金シフトを表す「グレート・ローテーション(大転換)」という言葉が使われ始めてから5年が経過。これまで結局そうした動きは確認できなかったが、今度は本物だとの見方が勢いを増してきている。写真は23日、ニューヨーク証券取引所のトレーダー(2016年 ロイター/Brendan McDermid)

[ロンドン 25日 ロイター] - 債券から株式への大規模な資金シフトを表す「グレート・ローテーション(大転換)」という言葉が使われ始めてから5年が経過し、これまで何度か、それがついに始まったかという場面があったが、結局そうした動きは確認できなかった。だが、今度は本物だとの見方が勢いを増してきている。

 11月8日の米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利し、経済成長や物価の見通しが一変して以来、世界の債券はほぼ2兆ドルもの価値が消えてなくなった。反対に米国株は過去最高値圏で推移している。

 バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)によると、16日までの週に株式に流入した資金は280億ドルと2年ぶりの高水準となった半面、債券からはの流出額は180億ドルと3年半ぶりの規模に達した。2つの資産クラスの資金フローにこれほどの差が生まれた例は過去に見当たらない。

 これがグレート・ローテーションの始まりかどうかはまだ分からないが、そうである可能性を示す理由は2つある。

 1つ目はアナリストが言うように、米国の労働需給の引き締まりと経済成長が加速する兆しから、インフレのリスクが高まっている様子がうかがえるということだ。

 2つ目としては、金融危機以降で初めて拡張方向に転じた財政政策が挙げられる。トランプ氏の公約や英政府が公表した秋季財政報告で、積極財政の姿勢は鮮明になっている。こうした変化は政府による借り入れ増加を通じて新たなインフレ圧力となり、債券の超低利回り局面が幕を閉じたとの見方を後押ししている。

転換点か

 一点だけ注意が必要なのは、過去にグレート・ローテーションの「偽りの始まり」が見られたことだろう。

 それでもピクテ・アセット・マネジメントのチーフストラテジスト、ルカ・パオリーニ氏は「グレート・ローテーションを目にしているのかどうかという問題は以前に何度も自問してきた。今は過去に存在しなかった著しいインフレリスクがある。これが違いだ」と話した。

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 米国では2013年に米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和縮小を示唆すると、いわゆる「テーパー・タントラム」によって10年債利回りは100ベーシスポイント(bp)強も跳ね上がったが、今年に入って過去最低圏に再び下がった。その一因は、FRBの利上げペースは景気を支えるためにゆっくりにとどまるとの観測だった。

 しかし予想物価と金利見通しががらりと変わり、短期市場は来年のFRBの来年の利上げを1回ないしそれ以上織り込みつつある。大統領選前は来年1回利上げされる確率は50%未満だった。

 これらの状況を踏まえ、グレート・ローテーションが胎動する兆しが見て取れる。

 JPモルガンは、過去1週間で米国株の上場投資信託(ETF)に過去最大の資金が流入し、債券ETFからは過去最大の資金流出が起きたと指摘した。

 株式市場内部では、債券的な扱いをされてきた公益や通信、ヘルスケアといった高配当セクターから、銀行や工業、コモディティ関連などより景気循環に連動しやすいセクターへの急激な資金移動が既に進行中だ。配当の魅力が薄れているのは、債券から株式へ資産クラス全体として資金がシフトする前兆であるのかもしれない。

 世界的に見ても、MSCI全世界株指数のセクター別で最も堅調なのは資源やエネルギー、一番出遅れているのはヘルスケアと公益、食品、飲料となっている。

 R・W・ベアードの機関投資家向けセールストレーダー、マイケル・アントネッリ氏はグレート・ローテーションが起きているかどうか「判断するのは尚早だが、これまで長い間見てきた中で現在が最も可能性がある」と認めた。

 今後グレート・ローテーションが本格的に確認できる材料があるとすれば、それは投資家が債券保有を大々的に圧縮し続けるという現象だろう。

 ステート・ストリート・グローバル・マーケッツのマクロ戦略責任者マイケル・メトカルフェ氏は「全般的に多額の資金が債券にこれまで流れ込んできた事情をわれわれは知っている。だから今の相場下落に対して投資家がどう反応するかは非常に重要な意味を持つ」と指摘する。

 またグレート・ローテーションが起きれば、米国主導になる公算が大きい。米国では今、債券は何年ぶりかの大規模な売りを浴びている。一方で欧州と日本はまだ物価上昇が弱く、超低金利が債券相場をある程度支える見通しだ。

(Dhara Ranasinghe、Vikram Subhedar記者)

 

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