昼の過密から夜は一転過疎へ
千代田区の商店街はイメージが薄い?

 昼夜間人口比率が20倍を超え、昼の過密から夜は一転過疎へと変わる千代田区。だが、第1回の国勢調査が行なわれた1920年(大正9年、当時は神田区と麹町区)の人口は、現在のおよそ5倍となる21万8000人を数えていた。

 その人口密度は、現在の23区平均の1.3倍以上。千代田区は人口集中地区だったのだ。極端から極端へ、区内にある約50の商店街は、こうした都心区ならではの環境の下で、都心区ならではの姿を見せている。

 千代田区は、小売店舗数は23区中14位と中位だが、1k㎡当たりの店舗密度は4位。さらに真ん中に皇居がある。皇居前広場を含む皇居の面積は、区の総面積の約6分の1を占めるから、実態上の店舗密度は2割増しで捉えねばならない。となると、台東区に次ぐ2位に躍り出る。その割には、千代田区の商店街はイメージが薄い。

 千代田区の商業と言えば、まず思い浮かぶのが老舗の集積だろう。筆屋、袋物屋、果物屋、米屋、和菓子屋、そば屋などなど、創業100年どころか江戸時代から続く超老舗も多い。専門店の老舗度を示すデータは見当たらないが、専門店の販売額が23区中トップであることに、歴史に培われた千代田区の専門店パワーを垣間見ることができる。

千代田区の商店街――コンビニが異常に増えるビジネスエリアに、古き良き“人情”は残っているか?

 第二の特徴は、大型店の集積だ。有楽町のマリオンは、昨年暮れに西武が閉店したものの、阪急は営業を続けている。丸井が入るイトシア、旧そごう跡のビックカメラも有楽町。丸ビルやオアゾがある丸の内も東京駅の大丸も、住所は千代田区だ。大型店の店舗数は、新宿区に次ぐ第二位を誇る。

 三番目は飲食店。飲食店の1k㎡当たりの店舗密度は4位。一般食堂が1位、中華料理店、そば・うどん店、喫茶店が2位。日本料理店、すし屋、居酒屋・ビアホールが3位となる。皇居を除くと、飲食店全体では2位。各業種別では、順位が1つ上がると考えておけば良い。