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新興国襲うトランプ台風、メキシコの次はトルコか

ロイター
2016年12月1日
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11月29日、米大統領選でトランプ氏(写真)が勝利したことの衝撃で、メキシコ金融市場は急落したが、同氏の保護主義的政策でより大きな危険にさらされるのはトルコかもしれない。コロラド州で10月撮影(2016年 ロイター/Mike Segar)

[ロンドン 29日 ロイター] - 米大統領選でトランプ氏が勝利したことの衝撃で、メキシコ金融市場は急落したが、同氏の保護主義的政策でより大きな危険にさらされるのはトルコかもしれない。市場の関心は既にトルコへと移りつつある。

 メキシコの通貨ペソ、株、債券は11月8日の米大統領選後に急落。これに対応して同国中央銀行が今年4度目の利上げに踏み切ると、ペソは過去最安値から約4%回復した。

 しかしトルコの経常収支赤字はメキシコより40%も大きく、国内総生産(GDP)の5%近くにも相当する。

 保護主義的政策による世界貿易の減速や、来月以降に予想される米国の追加利上げは、外貨借り入れコストを押し上げてこうした経常収支赤字国に痛みをもたらす。

 トルコは政情も不安定だ。7月のクーデター未遂事件以来、政府は約12万5000人を拘留あるいは更迭した。主要な貿易相手である欧州連合(EU)との関係も悪化している。

 こうしたことから通貨リラは下落を続け、今月の下落率はペソに匹敵するほどになった。大統領からの利下げ要請をよそに、トルコ中銀も通貨防衛のために利上げを余儀なくされたが、リラは下げ止まらない。

 リラ建て債券の保有者は今月、ドル・ベースで10%の損失を被った。これはメキシコや新興国の債券指数と比べても大きな下げだ。

 トルコのドル建てソブリン債の利回りは、メキシコに比べればわずかに高いだけだが、ジャンク級のブラジルを約30ベーシスポイント(bp)、やはり経常収支赤字国である南アフリカを80bpも上回っている。

 HSBCのストラテジスト、ムラット・トプラク氏は「市場はトルコを新興国市場の中の弱い鎖だと見なしている。メキシコや南アに比べて政治リスクが高いと認識されていることが一因だ」と説明。メキシコについては、「米大統領選の影響を既に織り込み、今はトランプ氏が公約した政策のうちどれが、どのように実行に移されるかを見守っている段階だ」と話した。

 トルコの最大の弱みは、政府が中銀に緩和圧力を掛け、中銀がその言いなりになっている構図かもしれない。中銀は先週の利上げに先立ち、今年は7回も利下げを実施している。

 資産運用会社ブルーベイの新興国市場ソブリン調査責任者、グレアム・ストック氏は「メキシコの強みは国内のファンダメンタルズが良好だということだ。体制は強固で安定している。トルコはそうではないところが心配だ」と述べた。

(Sujata Rao記者)

 

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