高齢化が「がん」の増加の一因

 がんになる日本人が増えている理由のひとつに、人口の高齢化があげられます。

 がんは、細胞のDNAの異常によって起こる病気です。連載の第1回で説明しましたが、たとえば、長い間、工場で同じ製品を作り続けているうちに、チェックの目をかいくぐって規格外品が世に出回ってしまうことがあるように、人間も高齢になるほど、生産数が多くなるので、細胞のDNAのコピーミスが多くなり、修復が追いつかなくなります。そのDNAのコピーミスの細胞が増えるのが「がん」です。

 実際、がんになる人が増えだすのは50歳代からで、以降、年齢を重ねるごとにがんになる人が増えていきます。

 国立がん研究センターがん対策情報センターのホームページによると、生活習慣とがんの関連は深いため、禁煙や、食生活を見直したり、適度な運動をしたりして、がんになりにくい身体作りをすることも可能です。しかし、親から受け継いだ体質、社会環境や経済状態なども、大きく関係しているのです。

 がんになるのは特別なことではなく、長く生きればそれだけ起こりうること、長寿の現代においては決して他人事ではないのです。

A がんになる原因はいろいろあるが、その原因の1つは高齢化。日本は長寿なので、生涯でがんにかかる確率は、男性は63%、女性は47%と推測されている。