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魚氷漬けスケートリンクはどこが炎上を招いたのか

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第187回】 2016年12月3日
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 受験シーズンが近づくと“滑る”は禁句になるが、こちらは駄々滑りだったようだ。スケートリンクに関わる話だっただけに、スベリ具合はしゃれにならなかった。

 北九州市にあるテーマパーク『スペースワールド』は、「今年から、アホはじめます」をキャッチフレーズに、さまざまなイベントを展開してきた。お経が流れる中をジェットコースターが進むような奇抜なものもあるが、フリージングポートと名付けられたスケートリンクでの企画は、ちょっと悪趣味だった。

 “氷の水族館”と銘打ち、そのスケートリンクでは、五〇〇〇匹の魚を氷漬けにしたのである。足下に氷漬けされた魚を見ながらスケートを楽しもうという企画だ。

 公式フェイスブックには、こんな文言が並んだ。

 “5000匹の氷漬けにされた魚たちの上をスイスイと滑走”
 “前代未聞のアトラクションで日本初、いや世界初間違いなし!!”
 “世にも奇妙なスケートリンク アホですな~SW(笑)”

 水を張っている途中なのだろうが、リンクに敷かれた魚らの写真とともに「おっ・おっ…溺れる」といった投稿もあった。スケートリンクは不凍液の上に少しずつ水を張り、三〇センチほど厚みになるまで約二ヵ月を要するのだという。その過程で撮った写真だ。

 氷漬けしたサンマや鰯、キビナゴ、アジ、エビなど二五種類の魚は、外見に難があるなど売り物にならない魚だけを卸売市場の仲買から購入したとのことだ。他にもエイやジンベイザメなどもあったが、これらの大型魚は写真で代用していた。スペースワールド総支配人・竹田敏美氏が言う。

 「八月下旬、冬の催し物を決める会議で“スケートリンクを海のようにして、その上を滑って楽しんでいただこう”というアイディアが出たのです」

 スケートリンクは先月一二日にオープンし、当初は利用者からのクレームもなかった、と総支配人は説明している。企画の奇抜さに、むしろ昨年冬よりも利用者は増え、スケートはせず氷漬された魚を見るためだけに来園した利用客もいたとのことだ。竹田総支配人が続ける。

 「例年と比べて、客層は広くなって人数も倍近く増えました。お子さんは魚を指差して大喜び。若い方にも“こんなの見たことない”“きれい!”とご好評でした。特にお叱りのようなものもなかったんですが……」

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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