「僕のかつての上司(課長)は、以前パワハラ疑惑で部署を離れてしまいました。上司は『何でこんな簡単な仕事も終わらないんだよ』などと多少口の悪いところもありましたが、裏では部長や幹部に対して部下をかばったりすることもあったりして、仕事もできるし知識も豊富だし、尊敬していたんです。ところが、昨年春に入社した新人の男女3人が共謀して、課長の発言内容やメールの文面を誇張して人事部に言いつけたらしく、あえなく異動となってしまいました。以前から人事部と課長は会社の人事を巡って犬猿の仲だったこともあり、新人の言い分が通ってしまったようですね。新しい課長は穏和なタイプですが、印象の薄い人で、リーダーシップもなく、僕は古い課長のほうがリーダーとしての能力があったと思います」(27歳/旅行代理店/勤続5年)

パワハラが起きないよう注意する一方、
「パワハラ冤罪対策」を講じる必要も

「パワハラ」の濡れ衣を着せられて異動させられるなど、たまったものではなかろう。社員を管理する立場にある人は、パワハラが起きないように細心の注意を払う一方、自分の身を守るための「パワハラ冤罪防衛策」も講じておかなくてはならない。

 職場で急増する「パワハラ被害」や「パワハラ冤罪」を防ぐためには、企業関係者がパワハラについて正しく理解する必要がある。労働基準監督署は、職場内における精神的な苦痛に対して、「3段階の心理的負担の強度」を指定している。パワハラに関連するものも多く提示されているので、興味のある向きは覗いてみて欲しい。

 なかには、「研修・会議への参加を強制された」(強度1)、「達成困難なノルマが課せられた」(強度2)、「複数名で担当していた業務を1人でするようになった」(強度2)など、「パワハラか否か」を判断することが非常に難しいケースも含まれている。もちろん、ここに記載されたことが起きたからと言って、「即パワハラ」と認定されるわけではなく、実際には、様々な状況を総合的に判断した上で認定される。

 パワハラに対する世の中の認知が進み、企業において「パワハラ過敏症」さえ取り沙汰される現在、真に悪質なパワハラを見つけ出し、根絶する意味においても、関係者には以前よりも厳しい「眼力」が求められているのだ。