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上場企業、独自性ある情報開示を=レオス・キャピタルワークス

2016年12月5日

[東京 5日 ロイター] - 金融庁が導入を決めたフェア・ディスクロージャー(FD)ルールについて、レオス・キャピタルワークス(東京都千代田区)の運用本部、運用部長の渡邉庄太氏は、ルール導入を歓迎すると述べた。上場企業には、画一的な情報開示ではなく、各社各様の長期の戦略や社会的な存在意義を伝えて欲しいと求めた。

インタビューの主な内容は以下の通り。

──FDルールの導入について、独立系の運用会社からみてどう思うか。

 「基本的な概念は賛成。誰かが特定の有利な情報を得ているなら問題だし、フェアにあるべきというのは基本精神としては正しい」

 「我々はチーム6人で、説明会や工場見学などを含め年間1500件くらい企業を訪問している。そのなかで色々な企業に会うが、体制の整ってない企業に、カッチリしたルールや、これをやったらダメなどという罰則規定があると対応しきれなくなるリスクはあると感じている」

──FDルールに抵触した場合は、罰則などではなく行政指導にとどまる方向だ。罰則規定のない方が良いのはなぜか。

 「われわれやアナリストの創意工夫が認められることがいいと思う。原則的には良心にもとづく自由があるべきで、万が一、アンフェアな情報の開示が行われ、結果としてアンフェアなことが行われたら、その行われた行為に対する罰則をかけるべき。それはFDルールではなく、インサイダー取引規制の方を適用すべきだろう」

 「画一的にこの話しか出しません、こういうのは一切出しませんだと、クリエイティビティがない。企業はアピール不足で、もっと自分たちの魅力を出すべき。日本だけでも上場企業は約3600ある。3600通りのアピールの仕方があってしかるべき」

──日本証券業協会は10月から証券会社などセルサイドのアナリストが企業から取れる情報についてガイドラインを設けた。以降、バイサイドからみて何か変わったことはあるか。

 「それ自体でわれわれへの影響はなかった。証券会社(のアナリスト)が情報を得にくくなったために四半期ごとの予測を出さなくなり、結果的に(決算開示後の)株価のボラティリティは上がったかもしれないが、われわれはもっと長期のグロースのイメージを持って取材をしている。例えば、足元の四半期のEPS(1株利益)がいくらかなどは少なくとも聞いたことは一度もない。10月(の日証協ルール導入)以降、取材のやり方を変えなければならなかったことも全くない」

 「企業の側も、長期ビジョンやそもそも何を社会に提供したいのかという、根源的なバリューを見つめ直して欲しい。それを投資家やステークホルダーに伝えることが会社の成長に大事、というのが根本にあるべき。それを怠ってしまうなら、上場企業である意味は全くない。マーケットからリスクマネーを調達しているのに、リスクをテイクすることにバリューがあるということを伝えるのを放棄するなら、上場企業であることをやめるべき」

──FDルールが導入されて、情報が企業から出てこなくなる懸念はあるか。

 「RuleがLawになると好ましくないというのはある。ただ、今回の(FDルールの対象となる)情報がインサイダー取引規制と同じような範囲なら(企業への)追加負担はゼロなはずなので、それは避けられるだろう」

──日本企業の情報開示で、もっとこうすれば良くなるのにと思うことは。

 「FDルールというより市場の制度設計の話になるが、取引所は、もう少し企業にアクセスを広げ、成長意欲のある人にはどうぞ来てください、としていいのではないか。東証の引受審査部は非常に厳しく、成長意欲はあるけど事務作業などがそこまで出来ないとあきらめてしまう会社は多い」

 「間口を広げると恐らく宝石でなく石ころも入る(上場してくる)ので、目利き力が求められる。目利き力は、投資家がちゃんと自己責任で持つべきで、目利きを養うためには、各々の目線で企業を分析できるように、なるべくわれわれのリクエストする情報は可能な限り答えてもらうために、フェアに情報開示してくださいという精神が必要」

──投資家にとっては、どのような情報が必要か。

 「同じ情報を出して下さいということではない。たとえばインサイダーになるような業績予想について誰かに先に言うようなことは、インサイダー取引規制の方で規制すべきで、それ以外のところは、いろんな情報を投資家からリクエストあったらなるべく出して行く。そこでAには言ったけどBには伝えなかったのはアンフェアだと、何でも縛ろうとせず、聞かなかったBが悪い。Aの方が聞く能力が高かったのだからいいじゃないかとすればいい。それが公平な競争だと思う」

※インタビューは12月1日に行われました。

(江本恵美 編集:石田仁志)

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