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FD導入の議論遅い、行政指導は第三者機関主体に=上村・早大教授

2016年12月5日

[東京 5日 ロイター] - 上場会社が未公表の重要な内部情報を第三者に選択的に開示することを禁じる「フェア・ディスクロージャー(FD)・ルール」について、会社法、金融商品取引法の専門家、上村達男・早稲田大学法学部教授は、本来もっと早く議論・導入されているべきとの考えを示した。

FDに不備があった上場企業に対する処分を、罰則や課徴金などの処分とせず、行政指導にとどめる際は、行政機関ではなく、中立・独立で、厳正な第三者機関が主体となるべきと述べた。

インタビューの主な内容は以下の通り。

──フェア・ディスクロージャー・ルール(FD)の導入について、どう思うか。

 「導入自体は反対ではないが、議論するのが遅い。フェア・ディスクロージャーについては一生懸命やるが、ではインサイダー取引、風説の流布、相場操縦などの不公正取引全般はきちんと規制されているのか、と言われると不十分だ」

 「日本では、市場監視システムや、会社法と金融商品取引法の関係など、金融資本市場をめぐる規制の大きな枠組みができておらず、もっと金融資本市場のありかたについて本格的に知恵を集め整備すべきだ」

──金融資本市場の監視システムはどうあるべきか。

 「(現行システムでは)市場監視システムであるはずの金融庁と証券取引等監視委員会の上に、金融担当大臣がいる。監視・監督機関のはずなのに大臣がいて、財務大臣も兼ねている。これは(かつての)大蔵省の復活だ。(財務金融)担当相は副総理でもあり、成長戦略の旗を振っている。そのような上が存在する市場監視システムなど、ありえない」

 「監視委には、いまだに処分権がなく勧告だけしかできない。政策の提言も建議だけ。政策立案部門と市場監視は本当は別になるべきだ」

──FDに不備があっても強硬な処分ではなくソフトな行政指導にとどまる方向。効果は期待できるか。

 「そのようなやり方をするなら(指導する)主体は中立・独立で、かつ厳正でなければならない。行政機関が、ああしろこうしろと言うのはおかしい」

 「市場システムは細かいルールを時々刻々と、ルールメイクとエンフォースメントを同時進行させなければできない。Responsive regulation、つまり打てば響く機動的な規制・システムでなければ本当は市場監視はできない」

──どのような情報がFDの対象になるか、企業にとっては区別がつきにくい。

 「きめ細かなガイドラインや行為準則のようなものを明示していくことは必要だ。そのうえで、プリンシプルベースの規制とは規制の精神を現場が十分に理解することを求めるものであり、一義的な明確さを求めるという姿勢には問題がある」

──FDの対象になる情報は、どうあるべきか。

 「金融商品取引法の目的は、資本市場における公正な価格形成の確保、資本市場の十全な機能の発揮だから、そこで言う重要情報とは、市場感応情報だ。つまり公表されれば市場価格に影響を及ぼすような情報を意味する。市場での価格形成に影響を与える情報は全部入ると思う」

※インタビューは11月28日に行われました。

(江本恵美 編集:石田仁志)

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