また管理報告書や月次決算報告書を作成し、毎月全戸に配布。これらの情報を専用のWebサイト「マンション管理組合お知らせネット」に掲載し、住民がいつでも閲覧できるようにしている。情報をガラス張りにすることで、管理への無関心化や、管理費の利権化といった問題を防ぐのが狙いだ。ほかにも積立金・管理費の収納代行や管理費の滞納督促など、きめ細やかなサービスを多数展開している。

 合人社のルーツも他社にはない特徴の一つだろう。

「ディベロッパー系やビルメンテナンス系の管理会社が多いなか、当社のルーツはビルや大規模施設の設計事務所・計画コンサルタントにあります。そのノウハウは、長期修繕計画案の立案や大規模修繕工事において威力を発揮します。専門家としての高度な視点、独立系としての中立の立場で、適正な施工管理・コンサルティングを行えるのです」(福井所長)

 さらに、マンション管理などの複数の業務分野でISO9001の認証を取得。サービス品質を管理するための部署として業務監理室を早くから創設するなど、品質へのこだわりは強い。

 同社は公共サービス推進の新しいかたちであるPFI・PPP事業にも参画し、スポーツ施設や図書館など20以上の事業に携わってきた実績がある。大規模施設で培われたノウハウやマネジメント力もまた、マンション管理に生かされている。

東京都Zマンション(145戸)の実例(年間)

他社からのリプレースで
管理物件数を伸ばす

徳川 誠 東京中央支店 支店長

 合人社の営業ネットワークは全国を網羅する。顧客に密着した素早い対応を実現するため、主要都市を優先するのではなく、管理物件の発生した地域から順次営業所を開設してきた。その結果が全国網になったのだ。

 全国でも有数の激戦区にある東京中央支店の徳川誠支店長は昨今の状況をこう語る。

「当支店の管理物件350棟のうち、8割以上は他の管理会社からのリプレース(管理会社変更)です。お客様の管理会社を見る目が厳しくなり、新築入居後すぐに管理会社を変更する管理組合も増えています」

 管理会社変更は手間がかかって面倒と思われがちだが、同社では、提案書や資金計画書、スケジュールに加え、既存の管理会社に対する解約通知まであらゆる書類を準備し、管理組合の手間を軽減している。

池田秀人 東京中央支店 一課課長

 実際にリプレースした顧客からの評価について、東京中央支店一課の池田秀人課長は「フロントマンの対応のよさ、有資格者による年に一度の建物点検など独自のサービスが大変好評です」と語る。

 昨今では管理会社の倒産が問題となっているが、合人社は株式非公開でありながらグループ全体の財務内容を開示し、経営安全度の高さをアピールしている。管理会社の再検討時にぜひ加えたい選択肢といえるだろう。