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アングル:ポンド弱気派、英最高裁審理次第で一段の苦境も

2016年12月6日

[ロンドン 2日 ロイター] - 英最高裁は12月5日からの週に、政府には議会の承認を経ずにEU離脱交渉に入る権限があるかどうかについて審理を行う。英国が単一市場へのアクセスを失う「ハードブレグジット」に向かうとの警戒感からポンド安を見込んだ投資家は、審理の進み具合によって一段と厳しい立場に立たされる恐れがある。

ポンド安を見込む投資家は既に11月28日からの週に逆風に見舞われた。デービッド・デービス欧州連合(EU)離脱担当相が1日、英国はEU離脱後に単一市場へのアクセスを確保するため、EUの予算に資金を拠出する可能性があると初めて発言。英政府がEU離脱の経済への影響を和らげるために予想外に態度を軟化させると受け止められた。

ポンドはわずか数時間のうちに急伸し、対ユーロで3カ月ぶり、対ドルで2カ月ぶりの高値を付けた。

ポンドは11月に通貨バスケットに対して5%上昇したが、これは月間としては2009年1月以来、過去30年強でみても2番目の上昇率。もっとも前年同期と比較すると、なお15%下落している。

1日に行われた英下院補欠選挙で親EU派候補が勝利したことも英政府にとって打撃で、最高裁の判決次第ではEU残留支持派がハードブレグジット支持派に圧力を掛けることが可能になる。

ポンドの売り持ちは引き続き過去最低水準。帳簿を締める年末が近づき、7月から8月にかけてポンド安に賭けた投資家はポジションを手じまって市場から引き揚げたようだ。

ノムラ(ロンドン)のG10通貨ストラテジストのジョーダン・ロチェスター氏は「この数週間で初めてポンドが国内の材料で動いた」と指摘。市場はなお強い売り持ちの状態で、ポンド高の進行で踏み上げを迫られるリスクが常にあるとした。

最高裁は、判決が出るのは年明けになると説明している。しかし今回の審理はライブで中継されることになっており、劇場化の様相を強める可能性がある。

ロンドン高等法院では、政府がEUに離脱を正式通告するには議会の承認が必要との判決が下され、政府が最高裁に上訴した。今回の裁判でも英政府が敗北すれば、EU離脱を定めるリスボン条約50条の発動には議会から何らかの形の承認を取り付けざるを得なくなる。

動議による解決なら短時間で済むが、残留派は新たな法律について上下両院での可決が必要と訴えており、こちらはもっと複雑な手続きが必要になる。メイ首相は目標の来年3月末までに離脱の正式通告を行うのが難しくなるかもしれない。

ポンドはEU離脱を巡る6月の英国民投票以降の3カ月間で1ポンド=1.50ドルから1.30ドルに下落した。離脱の条件を巡る下落分は、10月にメイ首相がハードブレグジットを示唆する発言をして以降の分だ。

つまりポンドは現行の1.2680ドル近辺から、まずは主要な抵抗線である1.28ドル近辺を試し、「ソフトブレグジット」の可能性が高まればさらに上値を追う可能性が高そうだ。

(Patrick Graham記者、Jamie McGeever記者)

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