日銀がETF買いで「日本企業の大株主」になることの大問題日銀の株式保有比率(ETFを通じた間接的保有比率)はすでに10兆円を超えており、GPIF(公的年金積立金管理運用独立行政法人)に次ぐ国内第2位の大株主だ

日銀の株式保有額は10兆円超
GPIFに次ぐ大株主に

 日銀は、ETFによる株式購入をもう止めた方がいいのではないか。本稿では、率直にそう申し上げたい。

「週刊ダイヤモンド」の直近発売号(12月10日号)に、「日銀“大株主化”のいびつ 1年後を初試算! 保有率上位30社」という記事が載っている(ダイヤモンド・オンラインにも転載)。ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフアナリストが試算した、1年後の株主比率上位30銘柄の表が載っている。

 例えばトップのミツミ電機は1年後に日銀の株式保有比率(ETFを通じた間接的保有比率)が20.0%にも達すると試算されている。もっとも、同社は、今年の11月10日時点で14.7%も保有されているので、日銀による株式保有は、現時点ですでに「ひどく大きい」。

 一般的には、保有比率が5%を超えると、影響のある大株主として保有株式の増減について報告が求められることになっている。先の試算表の30位の東海カーボンを見るとしても、1年後には9.0%と計算されているし、11月10日時点で6.4%と5%を大きく超えている。

 筆者は、株式市場の常識を代表するような偉い立場ではないが、率直に言って「ただごとではない」保有比率だ。

 記事にもある通り、日銀の株式保有額は10兆円を超えており、すでにGPIF(公的年金積立金管理運用独立行政法人)に次ぐ国内第2位の大株主だ。東京三菱UFJ銀行よりも、日本生命よりも大きい。

 加えて、日銀は、ETFを年間約6兆円のペースで買う予定だ。先般、物価目標の「2%」(消費者物価上昇率、対前年比)をはっきり超えるまで、大規模な金融緩和を止めないことを約束したので、今後しばらく買い続ける可能性がある。現状では、2、3日に一度程度、七百数十億円の規模で買い出動しているようだ。上値を買い煽るような買い方はしていないようだが、海外の株価が下落して東証でも株価が下がるような日に、「下げ幅が小さく、買い支えが入っているようだ」と感じている市場参加者が多い。