中南米 2016年12月7日

ドミニカではメジャーリーグ候補選手が「投資」対象
選手を「大切な商品」と考える育成アカデミー

カリブ海に浮かぶ小国・ドミニカ共和国に住み、中南米の新興国を舞台に貿易事業を展開する風間さん。小学生のころから野球に打ち込んだ経験のある風間さんが、セリーグ優勝を果たした広島東洋カープの育成アカデミーでも話題となった、ドミニカのプロ野球選手育成アカデミーについてレポートします。

 私が住むドミニカ共和国は、野球を国技とする国の多い中南米の中でも特に「野球大国」と言われる国。米国メジャーリーグのすべての球団が傘下のアカデミーを設置しており、現在のメジャーリーガーのおよそ10人に1人はドミニカ人。しかも、デービッド・オルティス、ペドロ・マルティネス、マニー・ラミレス、ホセ・バティスタ、ネルソン・クルーズなど、挙げればキリがないぐらい、メジャーを代表するバッターやピッチャーが多いのです。

 今年セリーグ優勝を果たした広島東洋カープも、1990年からこのドミニカ共和国にアカデミーを持っており、一躍話題となりました。

 ドミニカ共和国には、メジャーリーグ傘下のアカデミーのほかに、純然たる投資によるプライベートアカデミーが数多く存在しており、この投資事業によりこの国の野球基盤が作られ、その結果、野球大国を作り出したと言っても過言ではありません。

 今回は、実際にどのようにプライベートアカデミーが運営されているのか、ご紹介したいと思います。

ドミニカのプライベートアカデミーで練習に励む選手たち。年齢は15~17歳前後が中心【撮影/風間真治】
この日、途中からマウンドに立った投手は肩慣らしでいきなり150キロを連発した【撮影/風間真治】

国中で選手をスカウトするシステム

 プライベートアカデミーというのは、メジャーリーグ傘下のアカデミーに入る前の選手たち、メジャーリーグ傘下のアカデミーの契約年齢が17歳からですから、それ以下の年齢、日本では中学シニアから高校野球ぐらいの年齢の子どもたちを抱えているアカデミーです。

 ドミニカ共和国には大小100を超すプライベートアカデミーがあるといわれており、地方の小さい村などにも存在しています。

 実際には20歳過ぎの選手も所属していて、彼らの中には一度メジャー傘下のアカデミーとの契約が決まったものの、その後何らかの理由で解雇された選手などもいて、140kmを連投する投手や打てば130m弾を連発する打者などがゴロゴロ見られます。

 「所属する」といいましたが、プライベートアカデミーであっても、多くの選手が弁護士の契約書によりサインをして所属するというかたちです。有望な選手については地方の村単位で発掘が行なわれています。アカデミー関係者だけなく、個人で「発掘スカウト」を名乗るような人が、地方の村で有望な子どもたちの情報を入手してアカデミー関係者に知らせ、トライアウト後にアカデミーオーナーやコーチが可能性を感じれば、その場ですぐに契約するという仕組みができているのです。


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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