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就職難・大学3年生のリアル~お“ゆとり”さま訪問日誌

「先輩は『いいんじゃない』と言ってくれました」
学生たちが仕上げる“残念なES(エントリーシート)”

保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]
【第7回】 2011年2月9日
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書く欄が小さくても、ガンガンアピールせよ

 「先生、ES見てもらっていいですか?」

 「おっけ。ちょっと座って待ってて」

 学生が仕上げてきたES、エントリーシート。ざっと目を通すと、記入スペースの小さなある質問項目のところで目が止まった。「専攻内容を教えて下さい」。一見、スルーしてしまいがちな小さなスペースだが、黙っていられずケチをつけてしまった。

 「『ディベート、ディスカッションをした』ってあるけど、そんなの当然どのゼミでもやっているでしょ。書ける欄がこんな小さいんだから、書かなくても相手が想像できることは省略して、もっと本当に伝えないといけないことを書こうぜ

 「省略しちゃっていいんですか? 内容を訊かれているのに」

 「ディベート、ディスカッションは『内容』ではないよ。『どこに住んでいますか?』と訊かれて『家』って答えるのと同じ。みんな家に住んでるってわかってるでしょ。わかってることを書いても答えじゃない。だから省略していいんだ」

 「省略しちゃったら、書くことなくなりませんか?

 「何言ってんのさ。全然書き足りないじゃん。ほら、他ゼミとの合同学習をしましたって、具体的に何をして何を得たの?それが一番重要なんだけどな。あと、論文賞受賞って具体的にどんな論文賞か説明しなきゃ。あれって学内論文だけど、ちゃんと外部の企業の協力で成り立っているそれなりのものでしょ?」

 「え? そうなんですか?」

 「そうなんですかじゃないよ。アピールできるものはガンガン使わないと

 私はビジネススクールの専任教員なので学部のゼミを持っていないが、研究室にはたまにゼミのプロジェクトや課題について相談に来る学生もいる。今回の学生もそういう一人であり、偶然彼女のゼミでの取り組みを知っていたので、2倍、3倍アピールしないともったいない、と思ったのであった。しかし、書く欄が小さいとあたかも重要度が低いかのような錯覚に陥ってしまい、つい流して書いてしまう

 次に、『あなたについて書いて下さい』という質問のほうに目を移す。

 「うーん、グッと来ないよ」

 「え?」

 「グッと来ないんだわ」

 「グッとですか…」

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保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]

1974年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師。リーマン・ブラザーズ証券(東京/ニューヨーク)、UBS証券東京支店で投資銀行業務に携わる。その後、起業、投資ファンド運用等を経て、10年より小樽商科大学大学院准教授、14年より昭和女子大学准教授、2015年9月より現職。雑誌、テレビや講演で金融・経済をわかりやすく解説する。著書は「あわせて学ぶ会計&ファイナンス入門講座」「実況LIVE 企業ファイナンス入門講座」(ともにダイヤモンド社)ほか多数。早大院商学研究科博士後期課程満期退学。
保田氏ブログ

 


就職難・大学3年生のリアル~お“ゆとり”さま訪問日誌

北海道のとあるのんびりとした国立大学。就職率は悪くない。ここのビジネススクールで教鞭を執る著者のもとに、毎日やってくる大学3年生の学生たち。就活、進路、恋愛、人生……。不安と悩みを抱えながらも、どこかのどかで牧歌的。そんな彼らは、本当にいわゆる「ゆとり」なのか? リアルな現場の一コマを毎週リポートする。※連載は全9回

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