12月8日、「トランプ現象」によるドル高進行と並行し、新興国通貨が下落している。写真はメキシコシティで11月撮影(2016年 ロイター/Edgard Garrido)

[東京 8日 ロイター] - 「トランプ現象」によるドル高進行と並行し、新興国通貨が下落している。新興国で生産している日系自動車メーカーにとっては、輸出採算の好転要因だが、実態はより複雑。部品調達率の低い製品では、新興国通貨安がコスト増につながる面もあるからだ。2017年もドル高/新興国通貨安が続くとの見方もあり、対ドルでの円安メリット減衰リスクも警戒されている。

謳歌しにくいメキシコペソ安

 日本の自動車メーカーは、今や6割以上を日本国外で生産している。現地で販売する車を作るだけでなく、そこを足場に別の国へ輸出するケースも増えてきた。円安が日本からの輸出採算を改善するように、現地通貨安は海外から海外への輸出にメリットとなりそうだが、そう簡単な図式ではないようだ。

 米大統領選挙後、最も下落した通貨の1つがメキシコペソ。トランプ氏が「国境に壁を作る」と発言していたこともあり、11月8日から12月7日までに対ドルで約10%下落、史上最安値圏となっている。

 ホンダはメキシコで3車種を生産しているが、部品の現地調達率は「CR─V」が83%、「HR─V」が60%、「フィット」が35%とばらつきがある。海外から調達しなければならない部品も多く、ペソ安は仕入れコストの上昇につながる。

 今年のメキシコの自動車販売は活況で、ホンダは1─11月の販売台数が前年同期比20.5%と市場の伸びを上回った。米国から「シビック」や「アコード」など完成車の輸入が増えており、「フィット」や「HR━V」などを米国に輸出しているとはいえ、トータルでは対ドルでのペソ安は減益影響につながる可能性がある。

 日産自動車はメキシコで年間70─80万台生産。このうち半分以上を北米や中南米に輸出しているが、同社関係者からは「メキシコ国内にあるサプライヤーも原材料を米国から購入しているところが多いことを考えれば、完成車の輸出が多いからといって、ペソ安を全てエンジョイできるわけではない」との声も聞かれる。