哲学者のキャラクターは、本人のキャラクターとできるだけシンクロさせるようにしています。

ニーチェは名言らしい名言が多いから「センター性」がある【原田まりる×佐々木圭一(前編)】原田 サルトルみたいな無頼派の人が吸うたばこは「セブンスター」じゃないかと思って、そうしました

佐々木 「今の時代に生きていたら、こんな格好をするだろうな」ということなんですね。

原田 そうです。サルトルはいろいろな映像やインタビューが残っていますが、その中でずっとタバコを吸っているんですよ。なので、本の中でもタバコを始めパイプや葉巻などをずっと繰り返し吸っています。

佐々木 確かに。挿絵に出てくるサルトルは全てタバコを吸っている姿ですね。

原田 サルトルみたいな無頼派の人が吸うたばこは「セブンスター」じゃないかと思って、そうしました。

佐々木 (笑)。そうそう、「セブンスター」みたいに、固有名詞がかなり入っているのも面白いなと思いました。西野カナとかMOCO’Sキッチンなんてのも出てきますもんね。哲学が難しいと感じている人でも、導入部分から読みやすさを感じると思います。このほか、読みやすくするために工夫した点ってありますか?

原田 カタカナが多いと、年配の方は読んでいて疲れてしまうと聞いたことがあるので、カタカナは極力なくして、数字も漢数字にしています。あとは、セリフが長いところは改行やスペースで流れを作ったり。

佐々木 カタカナが少ないのは、僕も嬉しかったです。

原田 あとは、やっぱり各哲学者のキャラクター設定ですね。現代的にはしていますが、本人のキャラクターとできるだけシンクロさせるようにしています。例えばサルトルは、男気があるけれどすごく女性好きでたくさん彼女がいたという話があるので、「ガールズバーを経営している」「レクサスに乗っている」「ちょっと高い焼肉屋さんを知っている」というように、現代にいたらこういう生活を送っているんじゃないかと具体的に想像しました。