タイ 2016年12月20日

-バンコクの忘れざる日々-
8年に及んだ日本人受刑者
獄中からの手記バンコク日本語情報誌『DACO』の報告

バンコク発ビジネス・生活情報誌『DACO』誌上で8年間続いていた日本人麻薬事犯の連載コラムがある。今年9月、国王の恩赦によって日本帰国を果たしたことで終了した、この連載の経緯とその後をDOCO編集長の沼舘さんがレポートします。

それは、1通の手紙から始まった

 2008年4月。バンコクの北に隣接するノンタブリー県バンクワン刑務所から『DACO編集部』宛てに一通の手紙が届いた。内容は本誌にある無料の掲示板への情報掲載依頼。「不要な本があったら譲ってください」というものだった。

 バンクワン刑務所には多くの麻薬事犯が収容され、日本人もいると聞いていた。ひょっとしたら獄中記を書いてもらえるかもしれない――そんな思いで面会に行った。

 チャオプラヤー川ノンタブリー桟橋着。時代に抗う遺物のような人力三輪車とそれをこぐ、痩せて日に焼けた老人らを目にしながら歩くこと10分、バンクワン刑務所に着いた。

 受付では囚人との間柄を聞かれ、「友人」と記入した。通されたところは十数人の囚人とそれ以上の面会者が2つに隔てられ、4メートルほど離れた距離でも聞こえるほど、互いが大声でわめき合う場所だった。

 初めて会う「友人」はだれなのかわからない。刑務官が不審そうに私のことを目で追っているのがわかる。何人かのそれらしき人に日本語で声をかけて手紙の差出人を探し当てた。

 痩せて目がギョロリとしていたが健康そうだった。2002年12月からすでに6年、獄中生活を送っていた(注:16年9月に出所)梅澤雄氏(仮名)、当時56歳だった。

 声をからしながら塀の中の話を聞いた。頃合いを見計らって「ところで何の罪で捕まったのですか!」と大声で聞くと、大きな目でこちらを凝視し、肩をすぼめて舌をチョロリと出してから「ヤー・バー(タイ語で覚醒剤のこと)」と答えた。

 2008年6月20日号より獄中からの手紙をそのままスキャンする連載が始まった。タイトルは「南獄手記」。最初はどうなることかまったくわからなかったが、彼はやけに真面目に原稿を送ってきた。

タイでは麻薬事犯は極刑、つまり死刑になることもある。獄中の梅澤氏に在タイ日本人が知りえない獄中の生活やルームメイト(他の囚人)のこと書いてくれるように依頼した。ひっそりと始まった第1回目。

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