――来年3月には、改正道路交通法が施行され、75歳以上の高齢者に信号無視や一時停止違反、通行区分違反などの認知症が疑われる違反があった際、医師による臨時の認知機能検査を受けることが義務づけられました。事故は減るのでしょうか。

 そう簡単にはいかないでしょう。現在の免許更新時の認知機能検査が十分でないのか、医師による認知症の診断に問題があるのか、まず、そこに大きな問題があります。

 そもそも認知症初期の患者を正しく診断できる医師は決して多くありません。ましてや、どんな能力の欠如をもって自動車運転が危険だと判断するのかもわかりません。運転している高齢者本人も自覚がありません。

 新聞(読売新聞11月21日)で読んだのですが、警視庁のデータによると、昨年1年間あった75歳以上の高齢者ドライバーの死亡事故は458件。そのうち、事故前の運転免許更新時の認知機能検査をして「認知症の恐れ」があると出た人は31件で、わずか6.8%。「認知機能低下の恐れ」と言われた人は、181件で、39.5%。合わせて46.3%。つまり、認知機能検査をしても半分以上がパスしてしまっていることになります。

 75歳以上の運転免許の保有者は全国で480万人もいるそうです。この人たちを検査しようとしても体制は十分なのでしょうか。仮に検査ができたとしても、半分以上はパスしてしまうという懸念があります。

「俺もいよいよ潮時かな」と
自覚させる仕組みを

――今後、国や行政はどのような対策をとるべきなのでしょうか。

 現在、認知機能検査や身体機能検査を行う場所は、いつでもどこでも手軽に行える状態ではありません。速やかにこういう検査機械を開発してあちこちに設置すべきだと思います。

 高齢者は普段から区役所でも保健所ででもどこで良いので、認知能力を自主的にチェックできる場所と機会を設けるべきです。