2月初旬、久しぶりにわが国の大企業同士の合併のニュースが報道された。国内の鉄鋼業界トップの新日本製鐵と同3位の住友金属工業が、2012年10月をメドとして、経営統合に向けた検討を始めると発表した。

 今回の大型合併については、これから公正取引委員会の承認が必要となるのだが、経営統合が首尾よく成立すると、世界最大のアルセロール・ミタルに次いで、世界第2位の鉄鋼メーカーが誕生することになる。

 これによって、ようやくわが国でも、鉄鋼業界の再編が具体的な格好で動き出したことになる。やや遅きに失したとの印象はあるものの、統合が進展するとその意味は決して小さくないはずだ。

2社の合併のポイントは、
単なる「規模の拡大」にあらず

 重要なポイントは、ただ単純に大規模な鉄鋼メーカーができ上がることではない。わが国の鉄鉱業界の再編が進み、世界市場に通用するようなビッグ・ビジネスが誕生することだ。

 世界的な販売競争、資源争奪戦が厳しさを増していることを考えると、わが国企業、さらにはわが国経済全体にとって、世界規模の企業誕生は生き残るために必須の条件なのである。今回のケースが引き金となり、今後、業界の再編が進むことは、わが国経済全体にとって明るいニュースとなるだろう。

 今回、新日鉄と住友金属の合併に合意ができた背景には、わが国企業を取り巻く経済環境が厳しさを増していることがある。世界の鉄鉱業界を見ても、世界市場での競争が激化していることに加えて、原料である鉄鉱石などの資源争奪戦が一段と厳しさを増している。