入院時の差額ベッド料をめぐるトラブルは多い。中には、一度支払ったものを返還請求するまでに発展するものもある。まずは、次の3つの中で、患者が差額ベッド料を取り戻せるのは、どのケースか考えてみてほしい。

A:経済的に苦しいので個室には入りたくなかったが、看護師に丁寧に説明され、断ると入院できないと思ったので、仕方なく同意書にサインした。

B:がんの手術後、免疫力が低下しているので、差額ベッド料のかかる個室に入るように言われ、仕方なくその部屋を利用することにした。

C:夜中に急な腹痛で病院へ。虫垂炎と診断され入院することになったが、空きベッドがないので、仕方なく差額ベッド料のかかる2人部屋に入った。

 A~Cはいずれも、本人の希望ではなく仕方なく差額ベッド料のかかる部屋に入っている。ただし、Aは「同意書」を提出、Bは「治療上の都合」、Cは「病棟管理の都合」と、それぞれ条件が異なっている。この3つのキーワードによって、差額ベッド料の支払いはどのように変わるのか。

 今回は、差額ベッド料で損しないポイントについて抑えておきたい。

差額ベッド料を支払う大前提は
患者が特別室の利用を希望したこと

 入院すると、多くの場合は6人部屋などの大部屋で他の患者と一緒に過すことになる。大部屋で治療を受けるための入院料(医療的管理料、室料、ベッドや布団などの備品も含む)は、手術や検査などと同様に健康保険でカバーされており、患者は費用の3割(70歳未満の場合)を負担すればよい。