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新聞・週刊誌「三面記事」を読み解く

新聞記者の事件簿2016、捏造から危険ドラッグに法的措置まで

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第189回】 2016年12月17日
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 お笑いコンビ「ノンスタイル」の井上クンが起こした当て逃げが全然ポジティブじゃないので“笑えねえな”と思っていたら、まさかと思うような方向から大爆笑もののトピックが飛び込んできた。朝日新聞社と、毎日新聞社からである。

 アクセス数と広告収益を目当てに、適当な病因や治療方法をあたかも医療関係者からのアドバイスと思わせていたDeNAの医療情報サイト『WELQ(ウエルク)』の運営方針が問題視されたとき、朝日新聞社会部はこんなツイートをした。

 〈相手に十分取材をして、記事を書く。そんな当たり前のプロセスが存在しないキュレーションなるネットメディアの一端が垣間見えます。自分たちのコンテンツに愛着とか、思いとか、そんなものはないんでしょう〉(12月9日)

 朝日新聞社にもギャグのセンスがある記者がいるのだな――、と思わず感心してしまったが、相手に十分取材せず、報道機関なら当たり前のプロセスを踏まずにでっちあげ記事を何本も書き連ねただけでは足りず記事の信憑性を指摘されてもガン無視を決め込み、誤報を認めたとたん販売部数が一〇〇万部も落ちて社員の年収を平均で一六〇万円も削減せねばならず、売上高が前年同期比四・五%減(一九六八億円)、純利益三二・四%減(二四億円)で五年ぶりの赤字に転落(2016年9月中間決算)した新聞社の言うことは違う。実に笑わせてくれる。もっとも、自分たちのコンテンツに“愛着がありすぎる”から三〇年以上も虚偽の報道を続けられたのだろうけど(毎日新聞がかましたギャグは後半にご紹介します)。

 というわけで、今年もさまざまな事件があったが、報道に携わるブン屋さんたちもまた、度し難い事件を起こしていた。まずは中日新聞だ。

 十月一二日の中日新聞と東京新聞の社会面に“「新貧乏物語」の一部を削除します”とのお詫び記事が載った。他紙の社会部記者が説明する。

 「新貧乏物語とは、中日と東京新聞に年明けから掲載された大型連載です。一九一六年に大阪朝日新聞で連載された河上肇の『貧乏物語』になぞらえ、現代の貧困問題を取り上げました。新聞協会賞にも応募、九月には貧困ジャーナリズム賞も受賞しました(後に返上)」

 お詫びが必要になったのは五月一九日付の「病父 絵の具800円重く」と題した回だ。記事は、父親が脳梗塞で倒れてしまい、収入が激減したため、中学三年生の女の子は絵の具などの教材費も払えず、塾にも通うこともできず、部活動の合宿費用一万円も捻出できない――、という内容だったが、これらが全部“捏造”だった。

 記事が掲載された後、少女の家族から指摘があり、上記三点が中日新聞記者のでっちあげだったことが発覚した。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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三面記事は、社会の出来事を写し出す鏡のような空間であり、いつ私たちに起きてもおかしくはない事件、問題が取り上げられる。煩瑣なトピックとゴシップで紙面が埋まったことから、かつては格下に扱われていた三面記事も、いまでは社会面と呼ばれ、総合面にはない切り口で綴られるようになった。私たちの日常に近い三面記事を読み解くことで、私たちの生活と未来を考える。

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