12月15日、米連邦公開市場委員会(FOMC)のタカ派見通しで、ドル/円が一段高となっている。写真は都内で2013年2月撮影(2016年 ロイター/Shohei Miyano)

[東京 15日 ロイター] - 米連邦公開市場委員会(FOMC)のタカ派見通しで、ドル/円が一段高となっている。だが、通貨オプション市場をみると様相はやや異なる。リスク・リバーサル(RR)は依然としてドル安/円高予想を示すドル・プット・オーバー。強気にみえる投機筋だが、あくまで「半身の構え」で、ヘッジしながらドルを買い進んでいる様子が浮かび上がる。

投機筋は両にらみ戦略か

 1週間物のドル/円RR25%デルタはFOMC直前、2%付近にまでドル・プット・オーバーの傾きを拡げたが、FOMC通過後はアジア時間序盤にかけて1.3%付近まで急速に傾きを縮小した。

 市場では「ドル高の根拠を得て、ヘッジのドルプットを外す向きがいた」(別の国内金融機関)との観測が出ている。

 ただ、その後は、スポット相場の上げの勢いが落ち着く中でRRの傾きも1.5%付近に再び広がった。米大統領選後に一時接近した傾きゼロや、その先のドル・コール・オーバーにはまだ距離があり「投機筋は、まだ確信をもってドル買い/円売りに乗り出しているとはいえない」(りそな銀行・クライアントマネージャー、武富龍太氏)とみられている。

 米大統領選後の通貨オプション市場では、スポット市場の上昇と足並みをそろえるように、ドル安/円高予想がいったん後退した。1週間物RRは、ドル・プット・オーバーの傾きが選挙の開票中に5%超に拡大した後、急速に傾きを縮めた。11月後半には0.04%と、ほぼゼロ付近にまで縮まった。

 ところが11月後半ごろから、スポット相場が上昇を続けた一方で、RRのドル・プット・オーバーの傾きが拡大し始めた。商品先物取引委員会(CFTC)が発表するIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組がちょうど円売り越しに転じた時期と合致する。

 市場では「円ショートに取り組み始めた投機筋にしても、先行きのドル高/円安に半信半疑で、ヘッジを掛けながらの半身の構えといったところなのだろう」(あおぞら銀行・市場商品部部長、諸我晃氏)との見方がもっぱらだ。1ヵ月物のRRも、概ね同様の動きとなっている。

弱気残るうちは上昇継続との見方も

 スポットとオプション市場で異なる方向感の動きが生じる場面は、過去にも観測されている。2014年の8-9月は、数ヵ月にわたって102円付近で停滞したドル/円が急上昇を始めた。RRはドル・プット・オーバーの傾きを拡大させたが、スポット市場ではさらにドル高/円安が進むなど、必ずしもドル安/円高の「前触れ」を示しているわけではない。

 今回のFOMCではメンバーの示す政策金利見通しに基づく来年の利上げペースは、3回に「上方修正」。金利市場は敏感に反応し、10年米国債利回りは2.43%付近から2.58%付近へと上昇。日米金利差と相関の強いドル/円も、115円前半から117円台へと2円幅で上昇した。

 市場では「ドルの上昇スピードは明らかに速すぎだが、売りの理由が見当たらない以上、相場についていくしかない」(邦銀)との声が漏れる。あおぞら銀行の諸我氏は「ドルは116-120円のレンジにステージが上がった可能性がある」と指摘する。目先の利益確定売りは出るとしても、基本シナリオは120円を目指す展開を予想している。

 市場が総強気になったときが相場の天井といわれる。「半身の構えの投資家が減らない限り、ドル強気相場もクライマックスにはなお距離がある」(別の邦銀)と言えるかもしれない。

(平田紀之 編集:伊賀大記)