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焦点:「大き過ぎて潰せない」米中関係、トランプ戦略描く中国

2016年12月16日

[北京 14日 ロイター] - トランプ次期米大統領の言動が米中間に緊張を走らせているが、米中の利害は密接に絡み合っており、両国は結局、次期政権下でも連携を迫られそうだ。

両国に互いの必要性を思い知らせることになる要因の1つが、北朝鮮問題だろう。

米西海岸を直撃するミサイルを開発中の北朝鮮が核武装することは、米政府にとって明らかに悪い知らせだ。しかし時に渋々ながら北朝鮮と手を組んできた中国側も、いつの日かミサイルが自国に向けられる可能性を恐れている。

中国外務省系のシンクタンク、中国国際問題研究所に所属する元外交官のRuan Zongze氏は「米中両国には北朝鮮をめぐる多大な協力余地がある。この問題では協力せざるを得ない。そうしなければ北朝鮮の核問題は解決しない」と話す。

 「米国が中国に対し、もっとしっかりやれと言うのではだめだ。両国が追求すべき利益は共通しており、双方とももっとやれることがある」という。

中国がトランプ氏の外交政策に不快感を示す手段として、国連の北朝鮮制裁に関して手を緩めるだけでは「墓穴を掘ることになる」と指摘するのは、中国在住のアジアの外交官だ。中国は朝鮮半島の非核化を望んでいると、この外交官は指摘した。

<緊張>

トランプ氏が今月、台湾の蔡英文総統と電話会談したことは中国を怒らせたが、北京在住の西側の上級外交官は、中国の対応がかなり抑制されていると見る。「現時点で中国の戦術はトランプ氏に影響を与えることであり、敵意を買うことではない」

中国共産党の機関紙、人民日報は先月、両国が互いを必要としているというのが中国の考えであり、ビジネスマンのトランプ氏ならそれを理解していると指摘。「中米関係の重要性は論を待たず、大き過ぎて潰せないと言うことができる」との論陣を張った。

中国はまた、商談が得意なトランプ氏との間で貿易を中心とする取引関係が結べると期待している。中国指導部に通じる関係筋は「トランプ氏はビジネスマンだ。取引を望んでいる」と語った。

トランプ氏は選挙期間中、中国への懲罰的関税をちらつかせ、最近も中国の通商政策への批判を繰り返した。これは台湾に関する同氏の発言と符号する。

しかし中国指導部に通じる別の関係筋は「これは挑発だが、戦争には発展しそうにない」と話す。もっとも「中国側は簡単には屈しない。緊張が生じるだろう」という。

<トランプ政権はチャンスか>

トランプ政権の誕生は中国にとってチャンス、との見方があるのも事実だ。

中国グローバル化センターのWang Huiyao所長は、中国は米国をアジアインフラ投資銀行(AIIB)に招くべきだと主張。「トランプ氏は米国の利益を追求するだろう。そのためには米中の貿易関係がもたらす多大な利益を無視できない」と語る。

かつて中国商務省で貿易政策部門を率いたHuo Jianguo氏は、トランプ氏が国際問題への関与を減らしそうなため、中国の活躍の場が広がると予想。「オバマ政権下で、中米関係は考え得る限りで最悪の水準まで悪化してしまった。明らかにイデオロギーに基づいた(オバマ氏の)政策を、トランプ氏が推し進めて中国を圧迫することはないだろう」と語った。

もっともHuo氏は「中国は直ちに世界統治の主導権を握ろうとするべきではない」と述べ、まずは東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を主導した上で世界的な影響力を確立すべきだとの考えを示した。

人民日報系で通常は非常に国家主義的な主張を載せる、環球時報ですら、中国がトランプ政権下で有利に振舞えるとの期待を鎮めようとしている。

同紙は社説で「中国はまだ総合力で米国に及ばない。全面的に世界を導いていく能力はない上、世界も中国もそうした状況に心理的な準備ができていない。中国が米国に代わって世界をリードするなど想像もつかない」と論じた。

(Ben Blanchard and Christian Shepherd記者)

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