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展望2017:株の上値は円安次第、企業業績の上振れ期待が原動力

2016年12月16日

[東京 16日 ロイター] - 2017年の日本株は、円安次第で上値が決まりそうだ。バリュエーション面で割高感は強まっているが、円安効果による企業業績の上振れ期待が勝っている。

トランプ次期米政権への期待感がはく落せず、ドル高/円安が継続すれば、日経平均<.N225>が2万円を大きく超える場面もありそうだ。ただ、アベノミクス政策が再評価されているわけではない。円高再開による下振れリスクにも目配りが必要だろう。

市場参加者の見方は以下の通り。

●GW明けにボラタイルな展開あり得るが、年末は2万1000円付近の着地か

<野村証券 エクイティ・マーケット・ストラテジスト 伊藤高志氏>

足元の株高基調は来年5月のゴールデンウィーク付近まで継続するとみている。トランプ氏が次期米大統領に決まる前から日米の株価が上昇し始めていた背景には米国の実体経済の好調があり、象徴的に7―9月期の米企業業績は1年ぶりの増益に転じている。良好なファンダメンタルズのうえに、1月20日の米大統領就任式後100日間は波風が立たないユーフォリアの期間に入ることで株高が助長されやすい。日経平均は年前半に2万2000円まで上昇する余地がある。

ゴールデンウィーク明けからはボラタイルな展開も見込まれる。トランプ政権が本格的に動くのは、米国の新財政年度が始まる10月1日からであり、それまでは理想と現実のギャップで揺れ動くことになる。年央から秋口にかけて日経平均は下値1万7000円の可能性もある。とはいえ、トランプ政権は懸念されるような過度な保護主義にはならないだろう。世界の自動車メーカーを見てもすでに日米欧で販売網、工場、部品供給網を構築している。かつてのブロック経済のような切り分けは現実的ではない。年末は2万1000円付近で着地すると予想している。

●2万1000円台突入は困難、米金利・ドル上昇の副作用注視

<アムンディ・ジャパン 市場経済調査部長 濱崎優氏>

基本的に日本株は堅調を維持するだろう。来年のどこかで日経平均は2万円台に乗せてくるとみている。過度な円高リスクは後退しつつある。足元の円安を加味すれば、現時点で来期の国内企業は15─20%程度の増益も想定される。

ただ、1ドル120円までの円安は見込みにくい。米大統領就任後の「ハネムーン期間」を経て、ゴールデンウィークから秋口にかけては、いったん1万7000円台までの調整もあり得るが、業績に対する強気な見方から再び上昇していくイメージだ。2万1000円台への突入は難しい。

トランプ次期米大統領は、過度な金利上昇は好まないとみている。だが、拡張的財政政策に積極的な姿勢を見せれば見せるほど、米国の金利は上昇しやすい。各通貨に対しドルが高い状況が続くことも考えられる。財政政策の効果がみられるには半年以上かかるとされているが、その時点で企業の資金調達コストや住宅ローン金利などが上昇してしまえば、財政政策による景気押し上げ効果が相殺されるリスクがある。

●年初に安値をつける見込み、新興国経済リスクにも注意

<証券ジャパン 調査情報部長 大谷正之氏>

年末ラリーの反動もあり、日経平均は年初に1万8000円ぐらいまで調整する可能性がある。新興国株安の影響を受ける公算も大きい。12月14日の連邦公開市場委員会(FOMC)では、来年3回の利上げを示唆された。これを受け、15日のアジア株は資金流出懸念を嫌気した売りを浴び、日本株も少なからず影響を受けた。こういった中国など新興国経済発の材料にも注意を払っておく必要がある。

4、5月にはフランスで選挙が開催される。移民流入の制限を含め保護主義政策を掲げる候補が大統領に当選すれば、欧州発の金融・経済不安が再燃する恐れがあり、株式市場にとって、2017年の最大のリスクとなるかもしれない。

もっとも、トランプ政権が公約どおり巨額インフラ投資や大幅減税などの政策を実行に移すことができれば、株価は堅調を維持し、年央に2万3000円まで上昇しよう。夏場は弱含みで推移し、秋から年末にかけては小幅だが切り返す動きが見えてくるだろう。

●最悪シナリオは1万6000円、日銀ETF買い入れ減額も意識

<ニッセイ基礎研究所 チーフ株式ストラテジスト 井出真吾氏>

 「円の独歩高」が起きる可能性がある。期待先行で買われたドルと、政治不安を抱えるユーロが弱含むシナリオだ。日米貿易摩擦の問題があった90年代前半は日米金利差が拡大したにもかかわらず、円高が進んだ。

歴史的にみて保護貿易政策を進めた国の通貨は下落している。金利や金融政策よりも政治の動きを市場は重視していくだろう。ただし国内企業は仮に1ドル105円前後まで円高に振れたとしても、それなりに堅調な業績が期待できる。

メーンシナリオで日経平均は1万8000円、最悪のシナリオで1万6000円までの調整が考えられる。1ドル120円まで円安が進めば2万円台回復も十分あり得るが、そこからさらなる上昇は見込みにくい。

足元の米国株はバリュエーション的にみて極めて割高だ。円安が進まない中で米国株が調整すれば、日本株へのマイナスの影響は避けられない。逆にトランプ相場が長続きし、市場の安定と良好な経済状態が実現されれば、今度は日銀によるETF(上場投資信託)の買い入れが減額される可能性が出てくる。日経平均の構成ウエートが大きい銘柄には逆風となるだろう。

(株式マーケットチーム 編集:伊賀大記)

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