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展望2017:円債金利は後半にかけ低下、日銀YCCで変動小幅か

2016年12月16日

[東京 16日 ロイター] - 2017年の円債金利は前半に上昇し、後半に低下するとの予想が多い。トランプ次期米大統領の政策に対する期待と失望が入れ替わるとみられているためだ。

ただ、為替や株式と異なり、日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)政策があるため、金利の変動幅は限られる見通し。金利上昇局面ではターゲット金利の引き上げ、金利低下局面では買い入れ額減額が市場の関心を集めそうだが、大きな政策変更はないとの見方も有力だ。

市場参加者の見方は以下のとおり。

●日銀のYCC政策は強力、国債買い入れ減額も

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニア債券ストラテジスト 稲留克俊氏>

日銀のYCC政策は強力だ。10年最長期国債利回り(長期金利)はマイナス0.10%─プラス0.10%を予想。国債投資は今年と同様に、カーブの傾きに着目した「キャリー・ロールダウン効果」を活用した手法が有効だろう。

基本的に物価上昇のモメンタムは維持されているとの見方から、金融政策変更は想定していない。しかし、日銀が年間80兆円をメドとした国債買い入れを進めた場合、一段と国債需給がひっ迫しかねない。長期金利操作目標を維持するために必要と判断すれば、「現状程度(年約70兆円増)」といった表記に改め、実質的に買い入れ額を減らすかもれない。

18年4月に任期満了となる黒田日銀総裁後任人事の議論が本格化するだろうが、アベノミクスが続く限り、大きな路線変更を伴う人事はないのではないか。

●円金利は低位安定、リスクは海外動向

<クレディ・アグリコル証券 チーフエコノミスト 尾形和彦氏>

日銀のYCC政策で、円金利は安定して推移するのではないか。10年最長期国債利回りはマイナス0.10%─プラス0.10%のレンジを想定。レンジを上下に抜けるような局面があれば、日銀は介入姿勢を強めるだろう。

リスクは海外動向。米国では、トランプ新政権の政策実現性や利上げ動向に加えて、18年初頭に任期が終了するイエレンFRB議長の後任人事も注目だ。新政権が実質成長率4%を目指すことになれば、金融政策への負荷が掛かりやすくなる。仮に利上げペースを遅らせた場合、イールドカーブはスティープ化しやすくなるだろう。

世界第2位の経済大国、中国の住宅バブルがハードランニングを余儀なくされた場合、世界経済の波乱要因になりかねない。また、欧州では仏・伊・独などで選挙が相次ぎ、政治不安が意識されやすい。リスクオン・オフの材料が混在する1年になるのではないか。

●円債金利は春先から低下方向

<東海東京証券 チーフ債券ストラテジスト 佐野一彦氏>

トランプ次期米政権について、所得減税に関しては、税率の引き下げ幅を圧縮することを議会・共和党と折り合ったうえで実施するので、実現の可能性がある。

ただ、法人税率については15%は非現実的ではないか。減税の経済効果は、ブッシュ減税があったが、成長率を大幅に押し上げたかというと、そうではない。インフラ投資の10年間で1兆ドルという額も非現実的と考えている。

トランプ次期大統領の政策は今期待しているほどでないことに加え、もっとも重要なことは、世界経済が長期的な低迷期にあることを認識する必要がある。

1月の大統領就任から100日間がハネムーン期間といわれるが、失望する期間になる可能性がある。あと半年ぐらい待てばドル高は止まっている可能性があり、米金利上昇も止まることになりそうだ。来年の米利上げ回数も個人的には1回だと思っている。

円債金利は春先から低下方向になるのではないか。来年春以降、円高の芽は残っていると考えており、日銀の追加緩和の可能性は消えていないとみている。来年の10年最長期国債利回りはマイナス0.2%─プラス0.15%のレンジを想定している。

●米金利は前半上昇、後半に低下へ

<ドイツ証券 チーフ金利ストラテジスト 山下周氏>

来年前半にかけて金利の上限を探る動きになるだろう。マーケットとしては、リスクオン方向にトランプ米次期政権の不透明感が強いので、先回り的に高めのドット(FRBの金利予想)を織り込む動きが出やすいとみている。

しかし、実際に蓋(ふた)を開けてみると、財政拡大規模が膨らまず、インフレも高まらない可能性がある。前半にかけて金利が上昇した分、後半に若干戻してくる経路を米金利については考えている。

円債市場に関しては、海外金利が上昇する中でも日銀のYCC政策がワークすることで円金利の上昇を抑制することになるだろう。日銀の物価目標2%へ向けて現行の金融政策を維持することになるとみている。基本的には国債の買い入れ額を減らせないということになりそうだ。10年最長期国債利回りは、年前半は上昇の可能性があり、年後半はマイナス圏に入ってくることを想定している。

(金利マーケットチーム 編集:伊賀大記)

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