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展望2017:トランプ政策成功ならドル高継続、リスクは欧州政治

2016年12月16日

[東京 16日 ロイター] - 2017年の外為市場における焦点は、トランプ次期米大統領の具体的政策の実現度合いだ。景気拡大の期待が高まれば、インフレが高進し、金利は上昇、ドル/円<JPY=>は120円を大きく超えていく可能性が高まる。

しかし、失望となれば、足元のドル強気相場を支える期待の歯車が逆回転を起こしかねない。欧州の政治イベントで保護主義的な動きが強まることも警戒されており、円高リスクをはらんだ1年となりそうだ。

市場参加者の見方は以下の通り。

●トランプ期待はく落ならドル安/円高に回帰

<三菱東京UFJ銀行  チーフアナリスト 内田稔氏>

トランプ次期米大統領が打ち出す財政出動の行方が、ドル/円を左右する側面が強くなりそうだ。年前半は、市場の期待に沿う内容かどうか見極めが進むとみられる。

財政出動規模が、期待を下回るというのがメーンシナリオだ。その場合、すでに成熟状態にある米国経済の勢いが鈍化し、米連邦準備理事会(FRB)による利上げは3回どころか、今年同様に1回で打ち止めとの思惑が強まりかねない。

年央あたりから、次第にドル安/円高へと回帰するだろう。早ければ2月の予算教書や春先の予算編成の段階で、期待がはく落しかねないため、注意が必要だ。

ただ、トランプ政策への思惑が期待インフレを高めて米長期金利を押し上げ、ドル/円をけん引するというシナリオ継続の可能性も、従来に比べれば高まってきた。米10年国債利回りが2.6%に上昇しており、今後、2.5─3.0%レンジとなればドル/円は120円を超えてくるだろう。

次期政権が実際に期待通りの手腕を発揮する可能性もゼロではない。もっとも、米金利とドルが上昇すれば世界経済が圧迫されるリスクも高い。米金利とドルが上昇するにしても、ここからは緩やかではないか。

●「トランプ相場」は3月まで 年末にかけてドル反落リスク

<みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>

トランプ次期米政権の財政政策への期待からドルや米長期金利が急騰し、米国の金融状況は強烈に引き締まっている。この影響は1─3月期の米経済に何らかのかたちで出てくるはずで、4月以降の経済指標でそうした傾向が確認されるようになるだろう。FRBも3月にぎりぎり利上げできるかもしれないが、それ以降は難しく、年3回など到底できないとみている。

米国の通貨政策に関しても、米財務省がこのままドル高を容認するとは思えない。象徴的には4月に出てくる為替報告書で問題視される可能性もあるし、3月のドイツG20における要人発言も注意が必要だ。政治・経済的にみて米金利高・ドル高・株高の「トランプ相場」は、続いても3月までとみている。

米大統領選以降のドル高/円安は米10年債利回りの上昇に強く反応したものである以上、米金利が低下した時に買われるのも恐らく円になるだろう。1カ月で15円上昇したものは、1カ月で15円下落してもおかしくはなく、来年末に100円近辺という展開も荒唐無稽ではない。上方向では120円を超えることもあると思うが、その水準では迷いなく戻り売りのチャンスと捉えたい。

●嵐の前の静けさ 基軸通貨の揺らぎを孕むトランプラリー

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

トランプラリーの推進力は、先進国で低成長が常態化し、リーマンショック後に世界経済をけん引してきた新興国に息切れが目立つ中、覇権国である米国がインフラ投資や減税を実施すれば、経済に相応の効果をもたらすとの期待だ。

日本が仕掛けた期待に働きかける相場は日本止まりだったが、今回米国が仕掛けたものはグローバルな広がりを持つ。アベノミクスラリーでさえ3年半続いたことに鑑みれば、トランプラリーも相応の時間、続くと予感させる。

しかし、期待がけん引する株高、ドル高は中長期的なリスクを抱えている。

現在、主要国はリーマン直後のような財政余力を持ち合わせておらず、米国の財政収支は年間で6000―7000億ドルの赤字になろうとしている。無い袖は振れないことに、市場はいずれ気付くだろう。

また、HIA(本国投資法)など、世界で流通するドルを米国に還流させる措置は、見方を変えれば、ドルが基軸通貨としての役割をもはや果たせないことの表れだ。

トランプ政権4年間を見渡せば、結果的に、米国に都合の良いドル安が次第に浸透していくと考えている。現在のドル高は、そのバッファーを作るべく、発射台を高くするための準備だったと後々歴史を振り返ることになりそうだ。

来年については、ドル/円の上限を122.50円―125.00円とみている。

●ドル高継続、欧州政治イベントで調整も

<クレディ・アグリコル銀行 外国為替部長 斎藤裕司氏>

中国経済が底堅いという前提のもと、基本的にはドル高基調が続くとみている。トランプ次期米大統領が掲げる経済政策は、減税や財政出動などで景気を刺激し、米国内に雇用を生み出すというもの。米連邦公開市場委員会(FOMC)も年3回の利上げを予想するなど、ドル高に触れやすい。

貿易的に通貨安がいいといっても、ドル買いを促すような政策が多い以上、容易にドル安にはできないだろう。故意にドル安にしようとすれば、中国の通貨安誘導を批判できなくなる。実際、為替介入も現実的ではない。

調整があるとすれば、欧州の政治イベントがらみだろう。4、5月にフランス大統領選、9月にドイツ連邦議会選挙がある。今年はイギリスの国民投票、米大統領選と事前予想が外れただけに予断は許さない。

ドル/円は120円以上に上昇するが、3月末までに115─120円のところまでいったん調整されそうだ。その後は、米国の利上げを織り込みながら再び125円方向を目指す展開を想定。年末にかけて120円付近まで戻すイメージをもっている。

(為替マーケットチーム 編集:伊賀大記)

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