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焦点:中国の米車メーカー制裁方針、トランプ氏へのけん制球か

2016年12月17日

[ワシントン/北京 14日 ロイター] - 中国英字紙チャイナ・デーリーは国家発展改革委員会筋の話として、近く政府が米自動車メーカー1社(名前は公表せず)に独占禁止法違反を理由として制裁措置を科す方針だと伝えた。これはトランプ次期米大統領が中国との関係を台無しにするようなら、中国側も黙っていないという姿勢の表れだ。

とりわけトランプ氏が台湾問題で、中国が堅持する「1つの中国」政策に米国が縛られる必要がないと主張している点は、これまで築き上げてきた米中関係の根幹を突き崩す恐れがある。

両国の全面的な軍事衝突に事態が発展するとの予想はほとんど聞かれず、トランプ氏が中国製品に45%の関税をかけると選挙中に表明したことをきっかけにした経済戦争でさえ現実には起きそうにない。

それでもトランプ氏が1つの中国への疑問を出し続ければ、中国側には報復に動くための数多くの手段がある。

自動車業界筋がロイターに語ったところでは、独占禁止法違反を巡る調査はトランプ氏の台湾を巡る発言以前から実施されていた。ただ正式な調査結果発表前に米メーカー1社だけ制裁に言及したのは、トランプ次期政権へのけん制球を投じる機会として中国政府が利用した可能性がある。

トランプ氏の広報担当者ジェーソン・ミラー氏は14日、陣営はチャイナ・デーリーの報道を承知しているが、コメントするのは時期尚早だと述べた。

米議会民主党の関係者は、中国が米自動車メーカーへの制裁をちらつかせたことは、トランプ氏にとって中国側もたくさんのカードを持っているという事実をしっかり認識させたと指摘。トランプ氏が台湾や貿易、北朝鮮問題などであたかも米国が唯一の超大国であるかのように交渉に入れると思っているなら、考え直す必要があると釘を刺した。

中国が今後何らかの報復に動く場合、自動車メーカーだけでなくボーイング<BA.N>やゼネラル・エレクトリック(GE)<GE.N>といった中国に大きな権益を持つ米企業への圧迫を強めたり、米企業の中国市場へのアクセスを制限する可能性がある。

経済成長鈍化に伴って緩めてきた軍事力拡大ペースを再び加速させ、台湾近辺で海軍の演習を実施したり、北朝鮮やイランの核問題で米国への外交的な協力を手控える事態もあり得る。

コンサルティング会社オルブライト・ストーンブリッジ・グループのシニア・バイス・レジデントで元米通商代表部(USTR)の中国問題担当幹部のエリック・アルトバッハ氏は「中国は台湾政策を核心的利益をみなしており、この利益を守るためならどんなことでもする構えだ」と解説する。

オバマ政権内では次のような見方が主流だ。つまり「トランプ氏が台湾の蔡英文総統と電話で対話して中国を怒らせたのは、1つの中国政策に疑問を投げ掛けた場合に中国がどれほど反発するかをきちんと分かっていなかったからだ。中国の経済的、外交的、軍事的な存在が非常に大きくなっているので、正式に大統領に就任するまでには、台湾問題のような根本的な政策で中国と争うのは賢明ではないと理解してくれるだろう」というものだ。

しかしある元米政府高官はもっと悲観的で「トランプ氏の就任1年目は対中関係が対決的になることが基本的には確実で、問題はどれだけ悪化するかにある」と指摘した。

トランプ氏が今後どう動くかについて米国の中国専門家は3つのシナリオを提示。1つ目はジョージ・W・ブッシュ政権のように次第に強硬路線を和らげる方向、2つ目はトランプ氏が具体的な行動は伴わず1つの中国を疑問視し続ける展開。最後はありそうにないが軍事対決へと進むことだという。

台湾が独立を宣言して中国の侵攻を招く可能性は低い。それでも米国が単に1つの中国へのコミットメントを弱めるだけで、中国の国防姿勢が大きく変化しそうだ。

元米中央情報局(CIA)中国アナリスト、デニス・ワイルダー氏は「中国の国防上の優先項目は修正される。これはもはや避けがたいと思う」と語り、習近平国家主席は来年の国防支出を拡大し、実際に台湾侵攻に必要な軍事能力の確保に重点を置くだろうとの見方を示した。

(Arshad Mohammed、Matt Spetalnick、Benjamin Kang Lim記者)

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