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焦点:薬価制度改革は高額薬剤や後発薬に逆風、制度の詳細に関心

2016年12月20日

[東京 20日 ロイター] - 医薬品業界が戦々恐々として着地点を見守っていた薬価制度改革。政府は「毎年改定」に踏み込んだものの、改定が価格のかい離の大きな品目に限定されたことで、業界にとってマイナス影響は「マイルドにとどまる」との見方が多い。

ただ、抗がん剤「オプジーボ」のような高額薬剤は引き下げの機会が増えるほか、市場実勢価格とのかい離が生じやすい後発薬(ジェネリック医薬品)にとっては逆風となりそうだ。

政府が20日に決めた「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」では、2年に1度行われている市場実勢価格の調査に加え、その間の年にも大手事業者等を対象に調査を行い、価格のかい離の大きな品目について薬価改定を行うとした。

SMBC日興証券シニアアナリストの中沢安弘氏は「見直し品目数が絞られる見込みとなったため、医薬品メーカーに与える影響は、全体として限定的とみてよい」と話す。アナリストからは、市場実勢価格が薬価と大きくかい離することの多い後発薬は、毎年改定の対象となり、影響が大きくなる可能性が指摘されている。

制度改正は、高額な医薬品について、機動的に薬価を引き下げる制度作りでもある。塩崎恭久厚生労働相は会見で「革新的ではあるが、大変高額な医薬品が登場している。こういう医薬品について、現在の薬価制度が柔軟に対応し切れていないという指摘がある」と述べ、制度改革は、高額な医薬品対策が念頭にあることを認めた。

UBS証券アナリストの関篤史氏は「効能追加などで市場が急拡大した場合には、年4回見直すこととなった。こちらの方が、業界への影響は大きいかもしれない」と指摘する。基本方針には、抗がん剤「オプジーボ」のように、効能追加などで一定規模以上の市場拡大があった場合に対応するため、新薬収載の機会を活用し、年4回薬価を見直すことが明記された。

 「オプジーボ」のような高額な薬価が付く薬剤が、今後どの程度出てくるかは予測できないが、アステラス・アムジェン・バイオファーマの高脂血症治療薬「レパーサ皮下注」は、患者数の多い生活習慣病が対象であるにもかかわらず、薬価が2万2948円と高額になっている。このため、使用できる医師や施設、患者を絞ることで最適使用を促す「最適使用推進ガイドライン」作りが進められており、年4回の薬価引き下げと合わせて高額医薬品への圧力は強い。

今回の基本方針に沿って、中央社会保険医療協議会(中医協)で詳細な制度設計を議論し、2017年中に結論を出すことになる。欧州製薬団体連合会(EFPIA)のサイモン・コリア理事長は「発表されたことは原則であり、その内容が重要」と話す。UBS証券の関氏も「抜本的な改革と言うが、従来の延長線上でしかない。薬の進化、イノベーションに制度が付いてきていない。保険償還の方法などに手を付けなければならない」と述べ、中医協での議論や改革の進ちょくを注視する姿勢だ。

現段階では、薬価引き下げ対象の範囲が見通せないことから、厚労省幹部は、どの程度の医療費削減につながるかは試算できないとしている。

11月25日の経済財政諮問会議に提出された民間議員の資料では、仮に市場実勢価格が直近4年間の平均的な幅で下落(2.1%)し、毎年改定を行った場合、医療費負担は1900億円程度軽減されると試算している。

(清水律子 取材協力:辻茉莉花、リンダ・シーグ)

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