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吉田恒のデータが語る為替の法則

「米金利と米ドルのナゾ」を解く!
なぜ「4月にドル90円」のシナリオなのか?

吉田 恒
【第120回】 2011年2月22日
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 このところ、米国の金利と米ドルの相関関係が大きく崩れるといった「ナゾの現象」が続いていました。

 これをもたらした「犯人」は「QE」、すなわち、米国の量的緩和でしょう。

米金利上昇でも米ドルが
上がらないのは「QE」のため

 まずは「資料1」をご覧ください。これは米国の長期金利(10年もの国債の利回り)と米ドル/円相場のグラフを重ねたものです。

 これを見ると、それまで重なりあって推移してきた両者が、昨年12月頃から米長期金利の上昇に米ドルが追随せず、両者のカイ離が大きく拡大したのがおわかりいただけると思います。

資料1

 なぜ、このように米ドルと米国の金利の相関関係が大きく崩れたのでしょうか?

 別の言い方をすると、なぜ、米国金利の上昇に米ドルがついて行かなくなったのか?

 この原因についてはいくつかの説があり、実際問題として、私も1つの原因だけではないと思っていますが、それにしても最も有力な原因はあり、それが「QE」、つまり、米国の量的緩和ではないかと思っています。

第1次量的緩和後も
米金利と米ドルのカイ離は見られた

 このように考える理由はとても簡単です。

 今回の米国の金利に対する米ドルのカイ離は、昨年11月の第2次量的緩和、いわゆる「QE2」の後から起こった現象でもあるわけですが、第1次量的緩和が行われた2009年3月の後にも、やはり、このカイ離は見られたのです。

 「資料2」は、2009年の米長期金利と米ドル/円のグラフを重ねたものですが、3月の「QE」以降の米長期金利上昇に、この時も米ドルはついて行きませんでした。

資料2

 米国金利の上昇に、本来ならばほぼ重なりあって上がる米ドルなのに、この「QE」実施後の米国金利の上昇に対する米ドル高の反応は鈍く、両者のカイ離は急拡大に向かったのでした。

 これも、ゆっくり考えると当然のような気がします。為替は金利と資金供給量で決まるので、量的緩和が実施されると、資金供給量の為替への影響はふだんよりも大きなものになるでしょう。

「QE」が終了すれば、
米ドルが5円以上上昇する可能性も

 米ドルと米国金利の関係は、いつも相関性が高いわけではありません。長い歴史の中では、両者の相関関係が崩れることも珍しいことではないのですが、量的緩和局面というのはその中の1つで、相関関係が崩れるという点では、比較的わかりやすい局面ではないでしょうか?

 量的緩和局面というのは、金利を下げる「利下げ」のほかに、資金供給の拡大といった「第2の利下げ」も行っているようなものです。

 市場金利が上がっても、「第2の利下げ」に変わりがない中では、米ドル高へ反応したとしても限られたものになるということでしょう。

 言い方を変えると、この「第2の利下げ」とも言える量的緩和「QE」の終了、さらに出口政策といった見通しが広がってくると、金利に対する米ドルの反応も敏感さを回復してくる可能性があるでしょう。

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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