デンマークで100年以上前に誕生したグローバルカンパニー、オーティコン。「自然な音を自然なままで届ける」。よりよい言葉の聞き取りを実現するために生み出してきた革新的技術の数々は、まさに補聴器のエポックメークの歴史ともいえる。

脈々と受け継がれる
創業者の妻への思い
1903年、デンマークに住むハンス・デマントは英国に渡り、難聴者であった妻カミラのために補聴器を持ち帰った。翌年、ハンスは補聴器の普及を目指し、補聴器輸入会社を設立する。オーティコンの歴史はここから始まった。
ハンスの意志は息子のウイリアムに引き継がれ、その事業も補聴器の輸入販売から開発、製造へと拡大する。現在、オーティコンは二つの専門研究所をはじめ、音響機器、検査機器などの複数企業を傘下に持つウイリアム・デマントグループの中核会社として、世界100ヵ国以上に補聴器を提供している。

その歴史は、革新の連続だ。とりわけ近年における技術革新はめざましく、たとえば91年に世界初の全自動型のアナログ補聴器を発売。96年には世界初の耳かけ型デジタル補聴器、2004年には人工知能搭載モデルを送り出すなど、“技術のオーティコン”にふさわしい補聴器を開発し続けている。
こうした革新を可能とするのは、毎年売上高の10%もが投入される研究開発費と、世界中から集められた専門家たちの高度な知識。そして、聞こえに悩む人びとを第1に考える「ピープル・ファースト」の企業理念。これらが相まって技術の根底を支えているのである。